長崎大学の上瀧 健二氏らは、公害病認定患者における喫煙と呼吸器症状や肺機能との長期的な関連性を後ろ向き横断研究により検討した。その結果、大気汚染の曝露を受けた患者において、喫煙はさらなる肺機能の低下と呼吸器症状の増悪を引き起こすことが示唆された。BMJ Open誌2014年7月31日号に掲載。
著者らは、過去に倉敷で公害関連呼吸器疾患と診断された65歳以上の730人について、30年間、毎年同じ季節にスパイロメトリーおよび呼吸器の健康に関するアンケートを実施した。喫煙状況と閉塞性肺疾患の有無により分類した4グループの間で、呼吸器症状の有病率や肺機能を長期にわたり比較した。
主な結果は以下のとおり。
・被験者における喫煙率と呼吸器疾患罹患率は高かった。
・非喫煙者では、呼吸機能が完全には回復しなかったが、肺機能の変化率は正常範囲内であった(p<0.01)。
・喫煙者では、肺機能がより悪く、より重症の呼吸器症状が報告される可能性が高かった(p<0.01)。
(ケアネット 金沢 浩子)