肥満→腰痛のメカニズムの一部が明らかに

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/08

 

 肥満は腰痛の危険因子であることが認められているが、そのメカニズムについてはよくわかっていない。オーストラリア・モナシュ大学アルフレッド病院のDonna M Urquhart氏らは、地域健診参加者を対象とした検討の結果、肥満は腰仙椎移行部ではなく腰椎の椎間板高減少と関連していることを明らかにした。結果を踏まえて著者は、「構造変化が腰痛に関与しており、肥満と腰痛との関連を部分的に説明できるかもしれない」とまとめている。Spine誌2014年7月15日号の掲載報告。

 研究グループは、地域の健診に参加しT12椎体から仙骨にかけてMRIを施行した72例を対象に検討を行った。

 L1-L2からL5-S1までの椎間板高ならびにBMIを測定するとともに、過去2週間の腰痛を評価し、肥満、椎間板高および腰仙椎部の腰痛との関連を調べた。

 主な結果は以下のとおり。

・腰椎椎間板高の平均値および合計値は、肥満者群が非肥満者群より有意に低かった。平均値(±標準誤差;SE)は1.04±0.03 cm vs. 1.14±0.02 cm、合計値(±SE)は4.16±0.11 cm vs. 4.57±0.10 cmであった(いずれも年齢、性別、身長で補正後p=0.01)。
・肥満は、L1-L2およびL3-L4レベルで椎間板高の減少と有意に関連したが、腰仙椎移行部では関連はみられなかった(平均差:0.10 cm、95%信頼区間[CI]:-0.14~0.16 cm、p=0.89)。
・腰椎椎間板高の平均値および合計値はともに、腰痛と負の相関が認められた。平均値の平均差(95%CI)は0.09(0.02~0.17)cm、合計値の平均差(95%CI)は0.37(0.07~0.66)cmだった(いずれも年齢、性別、身長で補正後p=0.02)。しかし、両者の関連性は、体重で補正後は有意ではなくなった。
・また腰仙椎移行部では、椎間板高と腰痛との間に有意な関連は認められなかった。

(ケアネット)