75歳以上の年齢層におけるマンモグラフィ検診の有効性は示されていないことから、米国ワシントン大学のJudith A Malmgren氏らは、マンモグラフィで検出された75歳以上の乳がん患者の特性と転帰を前向きコホート研究で調査した。その結果、マンモグラフィで検出された75歳以上の乳がん患者では、患者や医師により発見された患者より、早いステージで診断され、受ける治療が少なく、疾患特異的生存率が優れていた。この結果から、若年女性でのマンモグラフィ検出によるベネフィットが、高齢女性においても同様に見られることが示唆された。Radiology誌オンライン版2014年8月5日号に掲載。
著者らは、1990年~2011年の間に、75歳以上であったステージ0~IVの原発性乳がん患者を登録データベース(n=1,162)から同定し追跡した。ステージ、治療、転帰、発見方法(患者、医師、マンモグラフィのどれか)を含む詳細情報は診断時のカルテから記した。浸潤性がん疾患特異的生存率の比較はカプランマイヤーを用いた。
主な結果は以下のとおり。
・75歳以上の乳がん患者におけるマンモグラフィでの検出は、研究期間中に49%から70%に増加した(p<0.001)。
・患者および医師による発見例がステージIIおよびIII(59%)が多かったのに対し、マンモグラフィ検出例はステージI(62%)が多かった。
・1990年から2011年までに、ステージIIおよびIIIの乳がん発生率はともに8%減少し、ステージ0の乳がんは15%増加(p<0.001)した。
・マンモグラフィで検出された浸潤性乳がん患者は、患者および医師により発見された患者に比べ、腫瘤摘出術および放射線で治療されることが多く、乳房切除術と化学療法施行は少なかった(p<0.001)。
・マンモグラフィで検出された患者では、浸潤性乳がんの5年疾患特異的生存率が有意に良好であった[患者/医師による発見87%に対して97%(p<0.001)]。
(ケアネット 金沢 浩子)