右側結腸がんは左側結腸がんとは生物学的に異なると考えられているが、予後の違いについては矛盾する結果が報告されている。東京大学の石原 聡一郎氏らは、ステージIV結腸がんにおいて腫瘍位置が予後に及ぼす影響を明らかにするために、多施設共同研究による傾向スコア分析を実施した。その結果、ステージIVの右側結腸がんは、左側結腸がんに比べて、同じステージIVでもより進行した状態で診断され、予後が有意に不良であったことから、腫瘍学的に左側結腸がんより侵攻性であることが示唆された。International Journal of Surgery誌オンライン版2014年8月1日号に掲載。
著者らは、1997年1月~2007年12月に治療されたステージIV結腸がん治療(n=2,208)を後ろ向きに検討した。右側結腸がん(盲腸、上行結腸、横行結腸)と左側結腸がん(下行結腸、S 状結腸,直腸 S 状部)における臨床的および病理学的特徴を比較した。がん特異的生存率に及ぼす腫瘍位置の影響について、多変量解析と傾向スコア分析で分析した。
主な結果は以下のとおり。
・右側結腸がんは、高齢者、女性、サイズの大きい腫瘍、低分化腺がん、粘液性腺がん、印環細胞がん、ステージIVの中でより進行した状態、より低いがん特異的生存率に関連していた。
・背景の臨床病理学的特徴の傾向スコアによりマッチさせたコホートでは、姑息的原発巣切除を受けた患者において、右側結腸がんはより低いがん特異的生存率と有意に関連していた(ハザード比:1.2、95%信頼区間:1.1~1.4、p=0.008)が、R0切除あるいは非切除例では関連していなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)