疑わしい皮膚病変には、かゆみ・痛みの評価を

提供元:ケアネット

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公開日:2014/08/12

 

 かゆみは皮膚上層部で生じる一方、皮膚の痛みはより深い部位と関連しているとのセオリーを支持する所見が、米国・テンプル大学医学部のGil Yosipovitch氏らによる検討の結果、示された。皮膚のかゆみと痛みについて、皮膚がんにおける組織学的特徴との関連を調べた結果で、「今回得られた所見は、疑わしい病変にはかゆみと痛みという簡便な臨床評価を行うべきであることを強調するものであった」とまとめている。JAMA Dermatology誌オンライン版2014年7月23日号の掲載報告。

 検討は、皮膚腫瘍摘出時のアンケートでかゆみと痛みの評価調査に回答した患者を対象とした大規模前向き臨床病理研究で、2010年7月1日~2011年3月31日の間にWake Forest University Baptist Medical Centerの皮膚科手術部門を受診した患者集団から登録して行われた。

 被験者は268例で、組織学的検査で確認された皮膚腫瘍数は339個(基底細胞がん166個、有棘細胞がん146個、メラノーマ27個)であった。

 主要評価項目は、摘出時におけるかゆみおよび痛みと皮膚がんとの関連で11ポイント(スコア範囲:0~10)の数的視覚アナログスケールで評価し、また各腫瘍について組織学的解析(炎症の程度とタイプ、潰瘍、神経周囲浸潤、浸潤の深さを評価)を行った。

 主な結果は以下のとおり。

・かゆみの有病率は36.9%、痛みの有病率は28.2%であった。
・しかし、かゆみと痛みの症状は、メラノーマではほとんどみられなかった。
・痛みの強度は、炎症の程度と有意に関連していた(軽度またはなしvs. 中等度または顕著のp<0.001)。また、炎症性細胞浸潤における好中球の存在(主として単核細胞vs. 混在または好中球のp=0.003)、好酸球の存在(存在するvs. しないのp=0.007)、潰瘍(ありvs. なしのp=0.003)、神経周囲浸潤(ありvs. なしのp<0.001)、浸潤の深さ(p=0.001)、皮膚病変の最大径(p<0.003)とそれぞれ有意に関連していた。
・かゆみの強度は、炎症の程度(軽度またはなしvs. 中等度または顕著のp=0.001)、好酸球の存在(存在するvs. しないのp=0.02)と有意に関連していた。

(ケアネット)