Helicobacter pylori(HP)の除菌において、糖尿病の存在が抗菌薬の有効性を低下させることが懸念されている。新潟大学の堀川 千嘉氏らは、糖尿病患者の除菌失敗リスクに及ぼす糖尿病の影響を調べるためにメタ解析を行った。その結果、糖尿病患者のHP除菌失敗リスクが非糖尿病者に比べて高いことが確認され、糖尿病患者のHP除菌での治療延長や新たな除菌レジメン開発の必要性が示唆された。Diabetes research and clinical practice誌オンライン版2014年7月23日号に掲載。
著者らは、2012年11月30日まで、Biosis、MEDLINE、Embase、PASCAL、SciSearchを用いて文献検索した。選定した研究から、2人の著者がそれぞれ別に、HP感染の除菌治療を受けた人数と糖尿病の有無別のHP除菌失敗データを抽出した。
主な結果は以下のとおり。
・適格な8研究を選択し、データを取得した(計693人、うち糖尿病患者273人)。
・全体では、非糖尿病者と比べた糖尿病患者のHP除菌失敗の統合リスク比(RR)は2.19(95%CI:1.65~2.90、p<0.001)であった。
・標準プロトコル以外でHP除菌を行った2つの研究を除いた場合、非糖尿病者と比べた糖尿病患者のHP除菌失敗リスクはより高かった(RR:2.31、95%CI:1.72~3.11)。
(ケアネット 金沢 浩子)