野菜の摂取量を1日当たり100g増やすことで肝細胞がん(HCC)の発症リスクが8%低下することが、中国・浙江がん病院のYang Yang氏らのメタ解析によって明らかとなった。果物では同様の結果は認められなかった。著者らは、今回の知見について、検証アンケートや交絡因子を厳密にコントロールしたさらなる研究によって確認されるべきとしている。Gastroenterology誌オンライン版8月12日号掲載の報告。
これまで、野菜や果物の抗がん作用については広く調査されてきたが、野菜や果物の摂取量とHCC発症との関係については、定量化されていない。この関連性を明らかにするために、観察研究のメタ解析を行った。
1956年から2014年5月31日までに投稿された論文をPubMed、Web of Science、EMBASEを用いて検索し、適格な研究を同定した。ランダム効果モデルを用いて要約相対リスク(RRs)を算出し、用量反応解析により関連性を定量的に評価した。各研究間のばらつきは、コクランのQとI2統計量を用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・本メタ解析には、19件の研究に129万45例の参加者と3,912例のHCC患者が含まれていた。
・野菜の低摂取群と比較した、野菜高摂取群のHCC要約RRは0.72(95%信頼区間[CI]:0.63~0.83)であった。また、1日当たりの野菜摂取量が100g増えるとリスクは8%低下した(要約RR 0.92、95%CI:0.88~0.95)。
・サブグループ解析では、この逆相関の関連性が、肝炎の既往歴、飲酒、喫煙、エネルギー摂取量にかかわらず変化しないことが示された。
・果物の低摂取群と比較し、果物高摂取群におけるHCCの要約RRは0.93(95%CI:0.80~1.09)であり、1日当たりの果物摂取量が100g増えることによる要約RRは0.99(95%CI:0.94~1.05)であった。
(ケアネット 岸田有希子)