喘息では、プライマリーB細胞の遊走増強に関して、IL-17が重要な役割を果たしていることを、サウジアラビア・キングサウド大学医学部のRabih Halwani氏らが初めて明らかにした。PLoS one誌2014年12月10日号の掲載報告。
IL-17は組織炎症の調節に重要とされる炎症誘発性メディエーターだが、それは他の炎症性疾患だけではなく、喘息やCOPDでも同様である。そして、IL-17の発現レベルは、喘息患者の肺気管支組織でアップレギュレートされることが明らかにされている。
いくつかの研究により、IL-17が、喘息やCOPD患者の気管支肺組織の構造細胞だけではなく、炎症細胞の遊走を増強させることが報告されている。その他の報告では、腸疾患や喘息、COPDといった炎症性疾患で、B細胞が炎症部位へ浸潤することが明らかになっている。そこで著者らは本研究で、喘息では、IL-17がプライマリーB細胞を遊走させる効果を発揮するかもしれないという仮説をたてた。
主な結果は以下のとおり。
・健常被験者と比較して、喘息患者のB細胞では、IL-17RAとIL-17RCの発現量が有意に多かった。
・in vitroでB細胞の遊走を分析したところ、IL-17AとIL-17Fの両方に向かって遊走することが明らかになった。
・抗IL-17R抗体または、MAP(分裂促進因子活性化タンパク質)キナーゼ阻害剤を使用し、IL-17AとIL-17Fのシグナリングを阻害することで、B細胞のIL-17への遊走が阻害された。
本研究の結果、喘息性のB細胞の中でも、より高い影響のあるプライマリー末梢血B細胞では、IL-17が直接的に遊走させる効果があることが示唆された。これらの知見により、喘息やCOPDでは、肺組織へのB細胞遊走が増強する際に、IL-17が重要な役割を果たすことが明らかとなった。
(ケアネット 佐藤 駿介)