2014年6月、紆余曲折を経て、いわゆる医療事故調査制度が創設されることとなり、現在、厚生労働省において、「医療事故調査制度の施行に係る検討会」が開催され、省令事項およびガイドラインについて検討がなされています。
厚生労働省ホームページ「医療事故調査制度に関するQ&A」に記載されているとおり、本制度の目的は、「医療の安全を確保するために、医療事故の再発防止を行うこと」です。そして、同Q&Aに記載されているように、「医療に関する有害事象の報告システムについてのWHOのドラフトガイドラインでは、報告システムは、「学習を目的としたシステム」と、「説明責任を目的としたシステム」に大別されるとされており、ほとんどのシステムではどちらか一方に焦点を当てていると述べています。そのうえで、学習を目的とした報告システムでは、懲罰を伴わないこと(非懲罰性)、患者、報告者、施設が特定されないこと(秘匿性)、報告システムが報告者や医療機関を処罰する権力を有するいずれの官庁からも独立していること(独立性)などが必要とされています。
今般のわが国の医療事故調査制度は、同ドラフトガイドライン上の「学習を目的としたシステム」に当たります。したがって、責任追及を目的とするものではなく、医療者が特定されないようにする方向であり、第三者機関の調査結果を警察や行政に届けるものではないことから、WHOドラフトガイドラインでいうところの非懲罰性、秘匿性、独立性といった考え方に整合的なものとなっています。
本シンポジウムでは、医療安全のための医療事故調査とはどのようにしなければならないか、現在の医療安全、報告システムの世界標準をお示しし、国民・患者がより安全な医療を受けることができるための制度について検討したいと思います。
開催内容は次のとおりです。
【テーマ】
国民・患者のための医療事故調査制度へ向けてより安全な医療を築くために必要なこと
【シンポジスト(予定)】(五十音順)
有賀 徹(昭和大学病院病院長・全国医学部長病院長会議「大学病院の医療事故対策委員会」委員長)
井上 清成(井上法律事務所)
大磯 義一郎(浜松医科大学医学部教授)
小田原 良治(一般社団法人日本医療法人協会常務理事)
佐藤 一樹(いつき会ハートクリニック院長)
田邉 昇(中村・平井・田邉法律事務所)
【概要】
日時 2015年1月18日(日)
開催時間9:00~13:00
会場 昭和大学病院 入院棟地下1階 臨床講堂
(〒142-8666 東京都品川区旗の台1丁目5−8)
費用 無料
申し込み 氏名、所属、連絡先を記載のうえ、下記事務局までお申し込みください。
lawjimu@hama-med.ac.jp
(ケアネット)