大豆イソフラボン摂取による胃がんの進行阻害を示唆する実験的研究がいくつかあるが、先行の疫学的研究ではこれと矛盾する結果が出ている。岐阜大学の和田 恵子氏らは、わが国の集団ベースの前向きコホート研究(高山スタディ)で、塩分摂取量を含むいくつかのライフスタイル因子を考慮したうえで、大豆やイソフラボンの摂取量と胃がん発症率の関連を検討した。その結果、大豆イソフラボン(主に非発酵大豆食品)の高摂取が胃がんの予防につながる可能性が示唆された。International journal of cancer誌オンライン版2015年1月14日号に掲載。
1992年9月時点で35歳以上であった男性1万4,219人、女性1万6,573人について、大豆やイソフラボン摂取量を食物摂取頻度調査票(FFQ)で評価し、総エネルギー摂取量について調整した。胃がん発症率は、主に地域の集団ベースのがん登録により確認した。
主な結果は以下のとおり。
・2008年3月までに男性441人、女性237人が胃がんを発症した。
・複数の交絡因子調整後、大豆摂取量の最低四分位と比較した最高四分位の胃がん相対リスクは有意に低かった。推定ハザード比は、男性で0.71(95%CI:0.53~0.96、傾向のp=0.039)、女性で0.58(95%CI:0.36~0.94、傾向のp=0.003)であった。
・女性においては、イソフラボン摂取量と胃がんリスクとの間にも同様の負の相関が認められた。
・非発酵大豆食品の摂取量が多いと、胃がんリスクが有意に低いことが認められた(傾向のp値:男性0.022、女性0.005)。一方、発酵大豆食品の摂取量と胃がんリスクとの間に有意な関連は認められなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)