聖マリア学院大学(福岡県)の鷲尾 昌一氏らは、わが国の高齢者において、病院外での肺炎発症に関連する因子を病院ベースの症例対照研究で検討した。その結果、地域に住む高齢者では低アルブミン血症が肺炎の危険因子である可能性が示唆された。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2015年2月5日号に掲載。
本研究では、新たに病院外で発症し肺炎と診断された患者をケースとし、それぞれに同病院の肺炎以外の外来患者1~3例をコントロールとした。すべてのケース(50例)とコントロール(110例)は65歳以上であった。
主な結果は以下のとおり。
・肺炎患者では、コントロールと比較して、低アルブミン血症(3.5g/dL未満)と低BMI(18.0未満)が多く認められた。
・自分自身で外出可能な(すなわちADLが自立)患者の割合と季節性インフルエンザのワクチン接種率は、肺炎患者のほうがコントロールより低かった。
・年齢、性別、病院、上述の因子による調整後も、低アルブミン血症は肺炎リスクを増加させた(OR:9.19、95%CI:3.70~22.81)。
・季節性インフルエンザのワクチン接種は肺炎リスクを減少させた(OR:0.37、95%CI:0.16~0.85)。
・老人ホーム入居者を除外しても、低アルブミン血症は肺炎リスクを増加させた(OR:12.19、95%CI:4.29~34.63)。
(ケアネット 金沢 浩子)