抗うつ効果に文化的背景は影響するか 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/03/25 大うつ病性障害(MDD)を有するラテン系アメリカ人は、非ラテン系白人と比べ、薬物療法へのアクセス、薬物治療開始、服用、治療維持など、どの定義においても、抗うつ療法の実施が低調である。こうした差異がみられる理由の1つとして、ラテン系アメリカ人の薬物療法に対する文化的適合性が低い可能性が挙げられる。そこで、南カリフォルニア大学のSylvanna M. Vargas氏らは、ラテン系アメリカ人のうつ病と抗うつ療法に対する認識を明らかにする調査を行った。その結果、うつ病を有していないラテン系アメリカ人には、うつ病およびその治療に対して批判的な意見があること、その一方、うつ病患者は抗うつ療法に関心はあるものの、薬物中毒や薬物依存への懸念があることがわかったという。著者は「ラテン系アメリカ人の抗うつ療法への関わり方を改善するには、処方医がそうした見解や懸念に着目していかなくてはならない」と指摘している。Transcultural Psychiatry誌オンライン版2015年3月3日号の掲載報告。 研究グループは、ラテン系アメリカ人のうつ病および抗うつ療法に対する見解を調査した。抗うつ療法を始めようとしているラテン系アメリカ人の外来患者30例に対し、半構造化された治療遵守および維持に関する質問票を用いて、初回治療前に質的インタビューを実施した。ベースラインでのインタビューは、ラテン系アメリカ人のうつ病外来患者の治療参加を高める新たな介入を検証する無作為化対照試験で収集されたデータより、ランダムに選択された。聞き取った内容はグラウンデッド・セオリーに基づくオープン・コーディングおよび反復解析的アプローチを用いて分析した。 主な結果は以下のとおり。 ・患者は、彼らが同じ社会集団に属する非患者から受けるスティグマを気にかけていることが認められた。 ・大半の被験者はそうした見解に対して、うつ病の経験を説明することで直接的に反論した。 ・また、抗うつ療法についても明らかにスティグマを意識していたが、被験者はそうした見解に対しては反論しない傾向がみられた。むしろ、抗うつ薬に関する懸念を表出し、精神科医療を求めることへの葛藤が認められた。 ・一方で被験者は、抗うつ療法に対する懸念に対処するため臨床医と患者が協力する方法があることを示唆した。 ・薬物中毒や薬物依存への懸念といった文化的見解は、乗り越えられる治療障壁であると思われた。 ・処方を行う医師は、ラテン系アメリカ人の抗うつ療法への関与を改善するために、文化的見解や懸念に対処する必要があると思われた。 関連医療ニュース 治療抵抗性うつ病患者が望む、次の治療選択はどれ うつ病患者とかかりつけ医、認識のギャップが浮き彫りに 呼称変更から10年、統合失調症患者へのスティグマを減らすためには:日医大 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Vargas SM, et al. Transcult Psychiatry. 2015 Mar 3. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 脳出血既往AFに対する脳梗塞予防、DOACは有用か?/Lancet(2025/03/07) GLP-1受容体作動薬、自殺リスクと関連せず/BMJ(2025/03/07) 活動性ループス腎炎に対する新しいタイプの抗CD20抗体の治療効果(解説:浦信行氏)(2025/03/07) 抗PD-L1抗体薬、GLP-1薬などに重大な副作用追加/厚労省(2025/03/07) 新規作用機序の潰瘍性大腸炎治療薬オザニモド、その特徴は?/BMS(2025/03/07) 治療抵抗性強迫症に対するSSRI+ブレクスピプラゾールの有用性(2025/03/07) 硬膜外ステロイド注射は慢性腰痛に効果あり?(2025/03/07) 日本人の4人に1人がコロナ陰謀論を信じている!?(2025/03/07) [ あわせて読みたい ] ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)