認知症のBPSD評価に「阿部式BPSDスコア」:岡山大 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/04/13 岡山大学の阿部 康二氏らは、認知症患者の行動と心理症状(BPSD)を評価する「阿部式BPSDスコア(Abe's BPSD score:ABS)」を開発し、スコアの有用性について、標準的BPSDスコアであるneuropsychiatric inventory(NPI)と比較検討した。その結果、NPIスコアと良好な相関性が示され、より短時間で評価でき、評価者間信頼性も高いことが明らかになった。結果を踏まえて著者は「ABSは軽度~中等度の認知症患者のBPSDの評価に有用である」と報告している。Neurological Sciences誌2015年1・2月号の掲載報告。 BPSDは、認知障害とともに認知症患者の大半でみられる重要な側面である。阿部氏らは、簡易なBPSD評価の開発に取り組んだ。まず、認知症介護者協会のメンバー全員(129例)に調査表を送り、地域における臨床的サーベイを行った。その後、10項目から成る新たなBPSDスコアを作成した。同スコアをNPIスコアと比較し、相関性(認知症792例)、スコア評価が完了するまでの時間(認知症136例)について検討した。また、評価者間信頼性について、主介護者・従介護者(70例)間でスコアを比較して調べた。 主な内容は以下のとおり。 ・ABSは、地域の介護者に対する臨床的サーベイに基づき作成された。 ・各BPSD評価項目は、頻度や重症度に基づき4段階(配点は最大1~9点)で評価し、BPSDの一時的発生を考慮に入れたものとなった。 ・ABSは、主介護者により44点満点で評価された。 ・認知症792例(78.6±7.0歳、MMSEスコア:19.0±5.9)で評価したNPIスコアとの相関性は良好であることが示された(r=0.716、p<0.01)。 ・認知症136例で評価したスコア評価が完了するまでの時間は、NPIスコア132.7±94.0秒に対し、ABSはわずか56.8±38.8秒で有意な短縮が認められた(p<0.01)。 ・主・従介護者の評価者間信頼性は高かった(r=0.964、p<0.01)。主介護者と従介護者のABSスコア差はわずかであった(0.877倍)。 ・ABSは迅速かつ簡便にBPSDを評価する新しい検査法で、NPIと良好な相関性を示した。時間も短縮でき、評価者間信頼性も高かった。 ・ABSは、軽度~中等度の認知症患者のBPSD評価に有用である。 関連医療ニュース 認知症のBPSDに対する抗精神病薬のメリット、デメリット BPSD治療にベンゾジアゼピン系薬物治療は支持されるか 認知症のBPSD改善に耳ツボ指圧が効果的 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Abe K, et al. J Neurol Sci. 2015;350:14-17. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 前糖尿病の肥満へのチルゼパチド、糖尿病発症リスク93%減/NEJM(2024/11/22) 生後2年間のデジタル介入で肥満リスク低下/JAMA(2024/11/22) BRCA1/2病的バリアント保持者における乳がん後の二次原発がんリスク/JCO(2024/11/22) 家庭内のインフル予防、手指衛生やマスクは効果ある?~メタ解析(2024/11/22) 統合失調症患者に対する抗精神病薬の投与経路変更の影響は〜メタ解析(2024/11/22) 「週末戦士」でも脳の健康に利点あり(2024/11/22) 減量薬のアクセス拡大が年4万人以上の米国人の命を救う可能性(2024/11/22) 抗てんかん薬の早期処方が認知症リスクの低さと関連(2024/11/22) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(2)(2015/03/02) 診療よろず相談TV シーズンII(2014/07/03) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12)