黄砂は、スギ花粉のシーズン中における鼻および眼のアレルギー症状に影響を及ぼさないことが、真生会富山病院の扇和 弘氏らによる研究で明らかになった。黄砂は、スギ花粉のシーズン前にくしゃみや鼻水、シーズン後に結膜炎の症状を誘発したが、スギ花粉シーズン中のアレルギー症状に対する悪影響は観察されなかった。Auris nasus larynx誌2014年12月号の報告。
黄砂は、モンゴルや中国の砂漠の砂塵が強風によって舞い上がって広範囲に飛散し、東アジアの人々に喘息や心臓病やアレルギー性疾患など健康への悪影響をもたらすことが明らかになっている。しかし、日本のスギ花粉によって引き起こされる花粉症患者における黄砂の影響は不明なままである。
そのため本研究では、花粉症患者に対する黄砂の影響を調査した。
花粉症患者41例に鼻および眼のアレルギー症状スコアを毎日記録してもらい、スギ花粉シーズン中とシーズン前後における黄砂イベントの影響を評価した。
主な結果は以下のとおり。
・黄砂イベントは、スギ花粉のシーズン中における鼻および眼のアレルギー症状に影響を及ぼさなかった。
・くしゃみや鼻水のスコアは、スギ花粉シーズン前の黄砂イベントで有意に増加した。
・眼症状スコアは、スギ花粉シーズン後の黄砂イベントで有意に増加した。
(ケアネット 武田 真貴子)