βラクタム薬アレルギー申告は不確実?

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/04

 

 先行研究の2次医療における研究で、「βラクタム薬に対してアレルギーがある」との申告の85%超が、アレルギー検査で確認されたものではなかったことが示されている。日常診療で、もし患者がβラクタム薬アレルギーありと申告したら、第2選択の抗菌薬を処方せざるを得ないだろう。βラクタム薬アレルギーの過大評価は、狭域抗菌薬の適切な使用を妨げるとともに、医療費の増加や耐性菌の出現を招くことになる。そこでオランダ・Julius Center for Health Sciences and Primary CareのOdette A E Salden氏らは自国の現状について調査し、カルテの記載に基づくβラクタム薬アレルギーの有病率は2%であったが、アレルギーの徴候や症状に関する記載がない患者が多く、診断はほとんどの患者で不確実であることを報告した。著者は、「プライマリケアでは、βラクタム薬アレルギーをスクリーニングするアルゴリズムを用いて、より良い記録を行う必要がある」と提言している。Family Practice誌オンライン版2015年4月7日号の掲載報告。

 研究グループは、オランダのプライマリケアにおけるβラクタム薬アレルギーの記録と過剰診断を評価することを目的に、レトロスペクティブ研究を行った。

 プライマリケアを受診した8,288例を対象に、プライマリケア国際分類(ICPC)を用いてアレルギーを有する患者を特定し、その患者のカルテからアレルギーの徴候・症状および患者背景などについてデータを得るとともにアンケート用紙を送付した。

 アレルギーの可能性については、これらの情報を複合参照基準に照らし合わせ、2人の研究者が独立して判定した。

 主な結果は以下のとおり。

・カルテに「βラクタム薬アレルギーあり」と記載されていたのは163例(2%)であった。
・このうち51.5%の患者では、カルテにアレルギー反応の特徴が何も記載されていなかった。
・複合参照基準に基づくと、19例(11.7%)はアレルギーではないと判定された。
・βラクタム薬アレルギーありと記載されていた患者の特徴は、女性、年齢が5歳以上、喘息・アレルギー・皮膚疾患の合併であった。

(ケアネット)