これまで、コーヒー摂取と死亡・主要死因別死亡との関連を検討した前向きコホート研究はほとんどなかったが、今回、わが国における前向き大規模コホート研究(JPHC Study※)により、習慣的なコーヒーの摂取が全死亡および心疾患、脳血管疾患および呼吸器疾患による死亡リスクを減らす可能性が示唆された。The American journal of clinical nutrition誌2015年5月号(オンライン版2015年3月11日号)に掲載。
本研究では、ベースライン調査において、がん、脳血管疾患、虚血性心疾患の既往のない40~69歳の日本人9万914人について、コーヒー摂取量と主要死因別死亡(全死因、がん、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患、外傷、その他)との関連を調査した。平均18.7年追跡調査を行い、その間に1万2,874人が死亡した。潜在的な交絡因子の調整後、コーヒー摂取量と全死亡および死因別死亡リスクとの関連について、Cox比例ハザード回帰モデルを用いて評価した。
主な結果は以下のとおり。
・男女とも、コーヒー摂取量と全死亡リスクとの間に逆相関の関連が認められた。
・コーヒーをまったく飲まない人と比べた全死亡のハザード比(95%CI)は、コーヒー摂取量が1日1杯未満の人は0.91(0.86~0.95)、1~2杯の人は0.85(0.81~0.90)、3~4杯の人は0.76(0.70~0.83)、5杯以上の人は0.85(0.75~0.98)であった(傾向のp<0.001)。
・コーヒー摂取量は、心疾患、脳血管疾患、呼吸器疾患による死亡リスクと逆相関していた。
※JPHC Study
「多目的コホートに基づくがん予防など健康の維持・増進に役立つエビデンスの構築に関する研究」(主任研究者:国立がん研究センター 津金 昌一郎氏)において、全国11保健所と国立がん研究センター、国立循環器病研究センター、大学、研究機関、医療機関などとの共同研究として行われている。
(ケアネット 金沢 浩子)