慢性心不全に適度なワイン

提供元:ケアネット

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公開日:2015/05/18

 

 日常的に適度なワインを飲むことは、心血管イベントリスクの低下と関連するが、慢性心不全患者におけるデータは不足している。GISSI-HF試験の研究グループは、イタリア人慢性心不全患者の大規模コホートを対象とした多施設臨床研究により、ワイン摂取と健康状態、バイオマーカー、臨床アウトカムとの関連性を評価した。著者らは「本研究は、慢性心不全患者の大規模コホートにおいて、適度なワインがより良い主観的/客観的健康状態、低い抑うつ傾向、血管炎症の少なさと関連することを示した、初の研究である。ただし、より良好な4年後臨床アウトカムとの関連性は認められなかった」とした。Circulation: Heart failure誌オンライン版2015年4月29日号の掲載報告。

 GISSI(Gruppo Italiano per lo Studio della Sopravvivenza nell’Insufficienza cardiaca)-HF試験に参加した6,973例を対象に、ベースライン時に生活習慣に関する簡易アンケートを行った。ワイン摂取と致死的/非致死的臨床イベント、QOL、うつ症状、心機能・炎症性バイオマーカー(一部の患者において検査)との関連について、単変量解析および多変量解析にて評価した。

 主な結果は以下のとおり。

・患者の約56%が「1日1杯以上ワインを飲む」と報告していた。
・調整後、臨床アウトカムはワインの摂取量で分けた患者4グループにおいて、有意な違いは認められなかった。
・しかし、潜在的交絡因子の調整後、ワインの摂取量が多い患者ほど、より良い健康状態を認識しており(Kansas City Cardiomyopathy Questionnaire [KCCQ]スコアによる自己評価、p<0.0001)、抑うつ症状が少なく(The Geriatric Depression Scale [GDS]:高齢者うつ病評価尺度)、血管炎症性バイオマーカー値が低い(osteoprotegerin、C-terminal pro-endothelin-1;共に調整後p<0.0001、pentraxin-3;p=0.01)ことが示された。

(ケアネット)