小児てんかん、多剤併用療法の悪影響は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/05/27 英国・Young EpilepsyのColin Reilly氏らは、小児活動性てんかんにおける全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害について調査した。その結果、とくにワーキングメモリおよび処理スピードの障害が顕著であること、多剤併用療法は全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害に関連していることを報告した。これまで、小児てんかんに特異的な認知プロファイルに関する住民ベースの検討データはなかった。Journal of Clinical and Experimental Neuropsychology誌2015年5月号の掲載報告。 研究グループは、住民ベースのサンプルにおいて、抗てんかん薬(AED)服用中および/または過去1年間にけいれん発作を認めた小児の「活動性」てんかんの、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードの障害の頻度を明らかにすることを目的とした。活動性てんかんを有する5~15歳の学童85例(適格例の74%)について、全般的認知、ワーキングメモリおよび処理スピードを含む包括的な精神学的評価を行った。認知下位テストのスコアをペアt検定にて比較した。線形回帰解析により、認知障害に関連する因子を評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・小児の24%がIQ 50未満、40%がIQ 70未満であった。 ・処理スピード指数スコアは、VerbalスコアまたはWechsler式パフォーマンス指数スコアに比べ、有意に低値であった。 ・Coding下位テストの成績は、その他のWechsler式下位テストと比べ有意に低かった。 ・4つのワーキングメモリ下位テストの少なくとも1つ以上において、小児の58%はメモリが未熟(メモリスコア1 SD以下で評価したIQ)であった。 ・全般的認知障害と有意に関連する因子は、多剤併用療法施行中(β=-13.0、95%CI:-19.3~-6.6、p=0.000)および注意欠如/多動症(ADHD、β=-11.1、95%CI:-19.3~-3.0、p=0.008)であった。 ・多剤併用療法施行中は、ワーキングメモリおよび処理スピード複合の低スコアとも関連していた。 ・発達性協調運動症(DCD)は、処理スピード複合の低スコアと関連していた。 ・小児てんかんにおいて、全般的および特異的認知障害が高頻度にみられ、ワーキングメモリおよび処理スピードにおいて障害が最も顕著であった。 ・小児てんかんにおける認知障害の予測因子は、てんかん関連因子および行動因子であり、認知評価のドメインによって異なる可能性が示唆された。 関連医療ニュース てんかん患者への精神療法、その効果は 精神障害を伴う難治性てんかん患者への術前ビデオ脳波は禁忌なのか 寛解後、抗てんかん薬はすぐに中止すべきか 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Reilly C, et al. J Clin Exp Neuropsychol. 2015 May;37:429-438. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 多剤併用のリスク回避は患者教育が大事 医療一般(2018/12/05) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 早期TN乳がんの術前・術後ペムブロリズマブ、最終OS結果(KEYNOTE-522)/NEJM(2024/09/27) 複雑病変へのPCI、OCTガイドvs.血管造影ガイド/Lancet(2024/09/27) 重症インフルエンザに対する抗ウイルス薬の有効性(解説:小金丸博氏)(2024/09/27) 転移を有するホルモン感受性前立腺がん、ダロルタミド+ADTがrPFS改善(ARANOTE)/ESMO2024(2024/09/27) 日本人治療抵抗性うつ病に対するケタミン治療の有用性~二重盲検ランダム化比較試験(2024/09/27) サシツズマブ ゴビテカン、トリプルネガティブ乳がんに承認/ギリアド(2024/09/27) アミバンタマブ、化学療法との併用でEGFRエクソン20挿入変異陽性肺がんに承認/ヤンセン(2024/09/27) 患者満足度向上対策をクリニックの6割が実施/医師1,000人アンケート(2024/09/27) 肛門扁平上皮がん1次治療、新規抗PD-1抗体上乗せが有用(POD1UM-30)/ESMO2024(2024/09/27) [ あわせて読みたい ] 岡田正人のアレルギーLIVE(2020/04/10) 新型コロナ治療薬の有力候補、「siRNA」への期待(2020/03/26) 開発中の治療法最前線(2020/02/17) 希少疾病・難治性疾患特集 2020(2020/02/03) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【精神科編】(2019/06/15) 今、注目のエビデンス(2018/07/02)