雌との遭遇意欲低下、うつモデルマウス:大阪大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/06/23 大阪大学の吾郷 由希夫氏らは、うつ病を含む精神障害の重要な指標である意欲低下を評価する新たな手段として、雄マウスの雌マウスとの遭遇テストを検討した。その結果、雄マウスのうつ病モデルでは雌マウスとの遭遇を好む傾向が低下すること、この低下はフルボキサミンなどで軽減されることを報告し、本手法が雄マウスの意欲の評価に有用である可能性を報告した。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年5月29日号の掲載報告。 意欲低下は、うつ病を含む精神障害の重要な指標である。研究グループは、マウスにおける報酬探索(reward-seeking)行動の新しい評価法である、雌との遭遇テスト(encounter test)について検討を行った。試験装置はパーテーションで区切られた3つのオープンな部屋で構成され、実験動物は1つの部屋から別の部屋に自由に行き来できるようにした。1匹の試験用の雄マウスはこの装置に前もって慣らしておき、その後、雌マウスと雄マウスを1匹ずつそれぞれ、左と右の部屋に設置した網の箱に入れた。雄のテストマウスが雌のあるいは雄のエリアで費やす時間は10分間とした。 主な結果は以下のとおり。 ・テストを実施した6系統のマウスすべてにおいて、雌との遭遇を有意に好むという結果を示した。 ・この嗜好傾向は、生後7~30週のマウスに認められた。 ・装置に慣らされていた雄のテストマウスのこの傾向は、去勢により阻害された。 ・また、後から侵入した雌マウスの月経周期のフェーズに影響されることはなかった。 ・この傾向は単独飼育、コルチコステロン投与、リポ多糖投与マウスを含む、うつ病モデルのマウスにおいて低下した。 ・示された意欲の低下は、単独飼育およびリポ多糖投与マウスではフルボキサミンの投与により軽減し、コルチコステロン投与マウスでは代謝型グルタミン酸受容体2/3アンタゴニストのLY341495投与により改善した。 ・雄でなく雌マウスとの遭遇により、雄のテストマウスの側坐核シェル部でのc-Fos発現が増加した。 ・さらに、この嗜好傾向と、遭遇により誘発されるc-Fos発現増加はどちらもドーパミンD1およびD2受容体アンタゴニストにより遮断された。 ・以上のように、成熟雄マウスの意欲は、雌との遭遇を定量化することで容易に評価できることが示された。 関連医療ニュース うつ病のリスク遺伝子判明:藤田保健衛生大 NIRS、抗うつ効果の予測マーカーとなりうるか:昭和大 学歴とうつ病の関連は、遺伝か、環境か 担当者へのご意見箱はこちら (ケアネット) 原著論文はこちら Ago Y, et al. Int J Neuropsychopharmacol. 2015 May 29. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 医師の腺腫検出率改善が大腸がんリスク低下と関連/JAMA(2025/01/06) 急性呼吸不全、高流量経鼻酸素vs.非侵襲的人工換気/JAMA(2025/01/06) GIP/GLP-1受容体作動薬チルゼパチドは、駆出率の保たれた心不全肥満患者に有効(解説:佐田政隆氏)(2025/01/06) 体脂肪率が片頭痛の重症度と関連、とくに女性で顕著(2025/01/06) ワイン摂取量と尿中酒石酸・心血管リスクの関係/Eur Heart J(2025/01/06) 疾患の検出や発症予測、血液検査が一助に?(2025/01/06) 難治性進行膀胱がん、新たな治療法に期待(2025/01/06) 不規則な睡眠は肥満に関連する肝疾患の特徴?(2025/01/06) 1歳半までの受傷歴がある子どもは、ケガの再発リスクが高い―国内縦断研究(2025/01/06) [ あわせて読みたい ] 全国在宅医療・介護連携研修フォーラム(2015/03/31) ひと・身体をみる認知症医療(2015/03/15) 診療よろず相談TV(2013/10/25) 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会 領域別セッション(2013/11/12) 「てんかんと社会」国際シンポジウム(2013/09/24) 柏市 在宅医療推進のための地域における多職種連携研修会(2013/06/24)