中高年~高齢者で花粉アレルギーを有する患者では、免疫機能に影響を及ぼし、特定の原因による死亡に対して保護的に作用する可能性が、東京大学の小西 祥子氏らによって報告された。Clinical & Experimental Allergy誌オンライン版2015年9月14日掲載の報告。
花粉アレルギーを有する患者は悪性腫瘍による死亡も有意に低かった
本研究は「こもいせコホート疫学研究」データを使用して、花粉症(アレルギー性鼻炎型)の罹患の有無が全死因死亡、原因別死亡を予測するかどうかを調査するために実施された。本コホートは群馬県の2エリアに住む40~69歳の住民が1993年から登録された。
現在の研究は、2000年のフォローアップ研究から得られた花粉アレルギーの情報を基に行われた。死亡や転居の情報は、2008年12月までのフォローアップ期間を通して得られた。比例ハザードモデルで花粉アレルギーと死亡率との関係を調べた。
花粉アレルギーと死亡率との関係を調べた主な結果は以下のとおり。
・2000年のフォローアップ研究において、コホート参加者の12%(8,796例中1,088例)が過去12ヵ月で花粉アレルギーの症状がみられた。
・7万6,186人年のフォローアップ中、全死因で748人が死亡した(外因性37人、心血管208人、呼吸器74人、悪性腫瘍329人)。
潜在的な交絡因子を調節した後、花粉アレルギーを有する患者では有意に全死因死亡の割合が低かった(ハザード比:0.57、95%CI:0.38~0.87)。
・悪性腫瘍による死亡も同様の結果であった(ハザード比:0.48、95%CI:0.26~0.92)。
(ケアネット 森 幸子)