セクシュアルマイノリティーにおける皮膚がんと日焼けマシーン使用

提供元:ケアネット

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公開日:2015/10/29

 

 「セクシュアルマイノリティー(同性愛者や両性愛者)の男性は、異性愛者の男性に比べて日焼けマシーンをよく使用しており、また皮膚がんになる確率が高い」というデータが発表された。JAMA Dermatology誌オンライン版2015年10月7日号での報告。
 本研究で、セクシュアルマイノリティーの男性は日焼けマシーンを使うことが多いことが明らかになった。研究者らは、「彼らに対して優先的に皮膚がんリスクを伝えることが予防につながるのではないか」とまとめている。

 これまでに、日焼けと皮膚がんの関係については強く示唆されていたが、性的指向によって皮膚がんリスクが変わるかどうかは不明であった。本検討は、セクシュアルマイノリティーの男女が、異性愛者(ヘテロセクシュアル)の男女に比べて、皮膚がんリスクが高いかどうかを明らかにするために行われた。

 カリフォルニア州と米国の特定組織に属さない市民集団から集められた18歳以上の男女19万人強のデータを対象に解析は実施された。
 対象となったデータは2001年、2003年、2005年、2009年のCalifornia Health Interview Surveys(CHISs)と2013年のNational Health Interview Survey (NHIS)である。
 研究対象には7万8,487人の異性愛者の男性と、3,083人のセクシュアルマイノリティーの男性、10万7,976人の異性愛者の女性、3,029人のセクシュアルマイノリティーの女性が含まれていた。著者らは、自己報告による皮膚がんの既往歴と12ヵ月間の日焼けマシーン使用歴を調査した。
 
 主な結果は以下のとおり。

・セクシュアルマイノリティーの男性は、異性愛者の男性に比べ皮膚がんリスクが高かった。
(2001~05年のCHISsでの調整OR:1.56、95%CI:1.18~2.06、p<0.001)。
(2013年のNHISでの調整OR:2.13、95%CI:1.14~3.96、p=0.02)。

・セクシュアルマイノリティーの男性は、異性愛者の男性に比べ日焼けマシーンを使うことが多かった。
(2009年のCHISsでの調整OR:5.80、95%CI:2.90~11.60、p<0.001)。
(2013年のNHISでの調整OR:3.16、95%CI:1.77~5.64、p<0.001)。

・セクシュアルマイノリティーの女性は、異性愛者の女性に比べ非黒色腫皮膚がんの報告は少なかった。
(2001~05年のCHISsでの調整OR:0.56、95%CI:0.37~0.86、p=0.008)。

・セクシュアルマイノリティーの女性は、異性愛者の女性に比べ日焼けマシーンを使うことが少なかった。
(2009年のCHISsでの調整OR:0.43、95%CI:0.20~0.92、p=0.03)。
(2013年のNHISでの調整OR:0.46、95%CI:0.26~0.81、p=0.007)。

(ケアネット 佐藤寿美)