FDA、メラノーマに対する腫瘍溶解性ウイルス(T-VEC)製剤を初めて承認

提供元:ケアネット

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公開日:2015/11/03

 

 米国食品医薬品局(FDA)は 2015年10月27日、皮膚およびリンパ節のメラノーマ病変の治療に対し、初めての腫瘍溶解性ウイルス製剤talimogene laherparepvec(略称:T-VEC、商品名:IMLYGIC)を承認した。

 IMLYGICは腫瘍融解性を有する遺伝子組み換えのヘルペスウイルス製剤で、外科的に完全切除不能なメラノーマの治療に用いられる。IMLYGICは、メラノーマ病変に入ると、がん細胞の中で増殖し、細胞を融解して死に至らしめる。

 IMLYGICはメラノーマ病変に連続的に直接注射する。初回注射から3週間後に2回目を投与し、その後は2週ごとに最低6ヵ月間、他の治療が必要になるか注射可能な治療病変がなくならない限り投与される。

 IMLYGICの安全性と効果は、切除不能の転移性メラノーマ患者436例を対象とした多施設試験評価された。被験者はIMYGICあるいはコンパレーターを最低6ヵ月または注射可能な治療病変がなくなるまで投与された。試験の結果、IMLYGIC群の16.3%に皮膚およびリンパ節病変サイズの縮小がみられ、その効果は6ヵ月以上持続した。一方、コンパレーター対象群での同割り合いは2.1%であった。ただし、IMLYGICによる全生存期間の延長、他の内蔵器官(脳、骨、肝臓など)に転移したメラノーマに対する効果はみられていない。

 臨床試験において頻度の高かったIMLYGICの有害事象は、疲労感、寒気、発熱、嘔気、感冒様症状、注射部疼痛であった。また、遺伝子組み替えヘルペスウイルス製剤であるため、ヘルペスによるウイルス感染もおこりえる。このようなことから、IMLYGICは免疫抑制状態または妊婦への投与は禁忌とされている。

 IMLYGICはAmgenの子会社であるBioVex Inc.(Thousand Oaks, California)が製造する。

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(ケアネット 細田 雅之)