国立がん研究センターは2015年10月29日、国際がん研究組織(IARC)が10月26日に発表した「赤肉、加工肉の人への発がん性についての評価」についての解説を発表した。
IARCの評価の基となった全世界地域の論文の赤肉摂取の範囲はおおむね1日50~100gで、なかには200g以上にわたる非常に高い地域もあった。一方、2013年の国民健康・栄養調査によると日本人の赤肉・加工肉の摂取量は1日あたり63g(赤肉50g、加工肉13g)で、世界的に見て最も摂取量の低い国の1つである。
2011年に発表した同センターがん予防・検診研究センター予防研究グループのコホート研究によれば、女性では毎日赤肉を80g以上食べるグループで結腸がんのリスクが高く、それ以下の摂取量ではリスク上昇はみられていない。男性では肉全体の摂取量が最も高いグループでリスク上昇がみられたが、赤肉ではとくに関連はみられていない。また、加工肉については男女ともに関連はみられていないという結果だった。
同センターのホームページでは、日本人の赤肉・加工肉の摂取量は世界的に見ても低く、日本人の平均的摂取の範囲であれば大腸がんのリスクへの影響はほとんど考えにくい。ただし、欧米でも多いとされる量の摂取であればリスクを上げる可能性は高いと考えられる、と解説している。
国立がん研究センター「赤肉・加工肉のがんリスクについて」はこちら。
国際がん研究組織(IARC)「赤肉、加工肉の人への発がん性についての評価」はこちら。
(ケアネット 細田 雅之)
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