週1回のDPP-4阻害薬、メカニズムと安全性は? 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2015/12/07 2015年11月27日都内にて、オマリグリプチン(商品名:マリゼブ)新発売を受けて「糖尿病治療における週1回投与のDPP-4阻害薬の役割」をテーマにメディアセミナーが開催された(主催:MSD株式会社)。以下、セミナーの概要を伝える。 2型糖尿病治療に大きな影響をもたらした「DPP-4阻害薬」 DPP-4阻害薬は「血糖依存的にインスリン分泌量を調節する」というこれまでにないアプローチで、日本の2型糖尿病市場で大きな存在感を放っている。事実、2009年に本邦初のDPP-4阻害薬・シタグリプチン(商品名:ジャヌビア、グラクティブ)の発売以来、DPP-4阻害薬は、現在日本の2型糖尿病市場においてシェア第1位を誇っている。しかし、依然として糖尿病治療薬の服薬順守率は決して高くはない。そのため、服薬負担が少なく、患者の多様なライフスタイルに対応できる薬剤の登場が望まれている。 週1回で効果が続くメカニズム オマリグリプチンは2015年11月26日に発売となった、本邦2成分目の週1回投与・長時間作用型DPP-4阻害薬である。本薬剤が長時間作用するのは、主に以下の4つの働きが関与し、半減期が延長したためである(t1/2=82.5時間)。 (1)肝代謝をほとんど受けない (2)特定の組織に蓄積せず、分布容積が大きい (3)血流にのって腎臓へ移行する薬物量が少なく、濾過量が少ない (4)尿細管で薬剤の大部分が再吸収され、再び全身循環する 有効性・安全性は連日投与製剤と同程度 国内第III相臨床試験の結果より、本薬剤はシタグリプチンと同程度の有効性、忍容性・安全性を有していることが示唆された。さらに、スルホニル尿素薬、ビグアナイド薬など他の経口糖尿病治療薬との併用においても臨床効果が確認された。 なお、本剤は腎排泄型の薬剤であるため重度腎機能障害のある患者、末期腎不全患者(eGFR<30)は減量して使用する必要がある点に注意が必要である。 週1回製剤のメリット 現在、海外における本剤の心血管安全性を評価する大規模臨床試験が進行中であり、さらなるエビデンスが収集されている。試験結果によっては、2型糖尿病治療薬においてDPP-4阻害薬の重要性はますます高まってくる。 演者の石井 均氏(奈良県立医科大学 糖尿病学講座 教授)は、「週1回投与のDPP-4阻害薬によって、従来の血糖降下作用に加えて、その利便性が患者のQOLにも好影響を及ぼす可能性がある。これは患者にとって非常に大きなメリットとなる」と強調し、セミナーを結んだ。 プレスリリースはこちら (ケアネット 中野 敬子) 関連コンテンツマリゼブ新発売情報 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 DPP-4阻害薬の副作用「類天疱瘡」、適切な処置の注意喚起/PMDA 医療一般(2023/07/31) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] HER2+早期乳がんへの術後T-DM1、iDFS改善を長期維持しOS有意に延長/NEJM(2025/01/24) 急性脳梗塞、血管内再灌流後にウロキナーゼ動注は有効か?/JAMA(2025/01/24) 脳梗塞治療は完全に心筋梗塞治療の後追い?(解説:後藤信哉氏)(2025/01/24) NSAIDsとPPI併用で下部消化管出血リスク上昇か(2025/01/24) 新生児マススクリーニングでみつかる長鎖脂肪酸代謝異常症/ウルトラジェニックス(2025/01/24) 自閉スペクトラム症と統合失調症の鑑別に有用な評価尺度は(2025/01/24) PM2.5が多いとマラソン選手の記録が低下する(2025/01/24) 医師による身体活動量の評価は慢性疾患の予防につながる(2025/01/24) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24)