うつ病に対するケタミン、効果的な投与量は

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2016/01/15

 

 低用量ケタミンは、速やかな抗うつ効果を発揮することが最近の研究で示されている。しかし、用量反応性、患者群間の一貫性、自殺傾向への影響、クロスオーバー試験に起因するバイアスの可能性などは明らかになっていない。オーストラリア・シドニー大学のYing Xu氏らは、システマティックレビューおよびメタ解析を行い、低用量ケタミンは超低用量ケタミンより有効であることを示した。ただし、5分の1の患者は1週間で寛解したが、その他の大半の患者では効果が長続きせず、臨床的効果にはかなりばらつきがみられたという。著者らは、「有効性を向上させるため、また安全性についてさらに評価するため、より大規模で長期的な比較試験が必要である」とまとめている。International Journal of Neuropsychopharmacology誌オンライン版2015年11月17日号の掲載報告。

 研究グループは、Medline、Embase、PsycINFOのデータベースを用いて、2014年8月時点で関連する無作為化試験を検索した。主要評価項目は、1日目・3日目・7日目時点までのうつ病スコア(HAM-DまたはMADRS)の変化、寛解率、反応率、自殺傾向、安全性および忍容性とした。データ抽出は2人の研究者が独立して行い、可能な限りクロスオーバー比較試験の第1期における治療効果の未発表データを入手した。

 主な結果は以下のとおり。

・9試験を解析に組み込んだ(計201例、女性52%、平均年齢46歳)。
・低用量ケタミン(静脈注射0.5mg/kg)の試験が6件、超低用量ケタミンの試験が3件(経鼻スプレー50mg:1件、静脈注射0.1~0.4mg/kg:1件、静脈注射・筋肉注射・皮下注射0.1~0.5mg/kg:1件)であった。
・3日目において、超低用量ケタミンの試験(均質性のp<0.05)および双極性障害患者群で、うつ病スコアの減少が少なかった。
・クロスオーバー試験の第2期を除く分析では、7日目においてケタミン群で反応率(相対リスク[RR]:3.4、95%信頼区間[CI]:1.6~7.1、p=0.001)、および寛解率(RR:2.6、95%CI:1.2~5.7、p=0.02)が増加し、寛解率は24%対6%と有意に大きな絶対有益性が示された(p=0.02)。
・7試験から自殺傾向に関する未発表データが提供された。自殺傾向は、7日目ではなく1日目および3日目で有意に減少した(どちらも p<0.01)。

(鷹野 敦夫)

精神科関連Newsはこちら

http://www.carenet.com/psychiatry/archive/news