食道腺がん診断後のスタチン使用、死亡リスク低下に関連

提供元:ケアネット

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公開日:2016/02/05

 

 大規模な集団ベースコホート研究により、食道腺がんと診断された後のスタチン使用が、食道がん特異的死亡率と全死因死亡率の減少に関連しているということを、英国・ノーフォーク&ノリッチ大学病院のLeo Alexandre氏らが明らかにした。Gastroenterology誌オンライン版2016年1月8日号掲載の報告。

 一般的にスタチンは、心血管疾患の予防や、アポトーシスの促進、食道がん細胞株の増殖抑制のために処方される。そこで著者らは、食道がんと診断された後のスタチン使用が、食道がん特異的死亡率と全死因死亡率の減少に関連しているかどうか調査した。

 著者らは、一般診療研究データベース(GPRD)を使って2000年1月~2009年11月までの間に、食道がんと診断された英国の男性と女性(4,445例)のコホートを特定した。全国がんレジストリと国家統計局のデータセットにより、組織学的サブタイプ、がん特異的死亡率をそれぞれ割り出した。食道がんと診断された後のスタチン使用と、食道がん特異的死亡率および全死因死亡率との関係を、時間依存型Cox比例ハザード回帰分析により推定した。

 主な結果は以下のとおり。

・コホート全体の生存期間中央値は、9.2ヵ月(四分位範囲[IQR]:3.7~23.2ヵ月)だった。

・食道がんと診断された後のスタチン使用者における生存期間中央値は14.9ヵ月(IQR:7.1~52.3ヵ月)で、スタチン非使用者では8.1ヵ月(IQR:3.3~20)だった。

・コホート全体における診断後のスタチン使用は、食道がん特異的死亡リスクの減少(補正ハザード比[HR]:0.62、95%信頼区間[CI]:0.44~0.86)、ならびに全死因死亡リスクの減少(HR:0.67、95%CI:0.58~0.77)に関連していた。

・食道腺がん患者における診断後のスタチン使用は、食道がん特異的死亡リスクの減少(HR:0.61、95%CI:0.38~0.96)、ならびに全死因死亡リスクの減少(HR:0.63、95%CI:0.43~0.92)に関連していた。

・この効果は、食道扁平上皮がん患者では認められなかった。

・がん診断前にスタチンを使用した群では、効果修飾のエビデンスはなかった。

(ケアネット 佐藤 駿介)