男性は女性に比べ、高齢になるほどパーキンソン病を発症しやすいことが明らかとなった。パーキンソン病は女性よりも男性で1.5倍発症しやすいが、男女における発症率の差が年齢によって変化するかどうかはわかっていなかった。そこでフランス・健康監視研究所のMoisan F氏は国民健康保険データからの調査と、22件のコホート研究のメタ解析によって、パーキンソン病の有病率と発症率における男女比率を調査した。その結果、80歳を超える場合では女性よりも男性で発症率が1.6倍以上高まり、年齢に伴い男性の発症率がより高くなることを明らかにした。J Neurol Neurosurg Psychiatry誌オンライン版12月23日号の掲載報告。
研究グループはフランスの国民健康保険のデータを用い、14万9,672のパーキンソン病有症例(女性率50%)と2万5,438の発症例(女性率49%)を抽出した。抽出した症例に対してポアソン回帰分析を用い、有病率と発症率における男女比を全体/年齢別で算出した。
また、22のパーキンソン病に関するコホート研究(1万4,126例、女性率46%)をメタ解析し、年齢と有病率・発症率における男女比の関係を調べた。
主な結果は以下のとおり。
・国民健康保険データから識別した症例において、年齢調整有病率・発症率は、女性よりも男性で高かった(男性:有病率=2.865、発症率=0.490、女性:有病率=1.934、発症率=0.328[単位:1000人年])
・全体として、男性は女性と比較して有病率が1.48倍(95%CI:1.45~1.51, p<0.001)、発症率が1.49倍(95%CI:1.41~1.57、p<0.001)であった。
・男女比はそれぞれ10歳ごとに、有病率で0.05、発症率で0.14増加した。
・50歳未満の男女では発症率は大きく変わらず(男女比 <1.2、p>0.20)、80歳を超える場合では女性よりも男性で発症率が1.6倍以上高かった(p trend <0.001)。
・コホート研究のメタ解析では、年齢に伴い女性よりも男性で発症率が高くなることが示された(10年ごとに0.26 倍、p trend=0.005)。
研究グループは「男女比が年齢の上昇とともに高まることは、年齢に伴ってパーキンソン病の病因が変化することを示唆している。この結果は、パーキンソン病の病因研究に新たな知見を与え得るだろう」と結論付けている。
(ケアネット 加藤 千恵)