腎機能に基づくレベチラセタム投与量の調整:京都大学 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/03/29 第2世代抗てんかん薬であるレベチラセタムは、部分発作の管理に使用される。投与量の約70%はそのまま尿中に排泄されるため、用量調節は個々の腎機能に基づくことが推奨されている。京都大学の伊藤 聡子氏らは、レベチラセタム治療のために、日常的にモニタリングされた血中濃度データを用いてレベチラセタムの母集団薬物動態モデルを開発した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年2月24日号の報告。 対象患者は、2012年4月~13年3月に、京都大学病院で日常的に定常状態のレベチラセタム血中濃度が測定された患者。レベチラセタムの薬物動態における患者特性の影響は、非線形混合効果モデリング(NONMEM)プログラムを用い、評価した。 主な結果は以下のとおり。 ・225例から得られた、合計583件の定常状態の血中濃度を解析に使用した。 ・患者の年齢中央値は、38歳(1~89歳)であり、推定糸球体濾過率(eGFR)は、98mL(15~189mL)/分/1.73 mであった。 ・レベチラセタムの血中濃度-時間データは、1次吸収のone-compartmentモデルにより十分に説明された。 ・経口クリアランスは個々の体重やeGFRと非比例的に関連していた。 ・投与量の増加は、経口クリアランスを有意に増加させた。 ・モデル適合における改善は、任意の抗てんかん薬の共変量を含むことで観察されなかった。 ・体重70kg、正常腎機能の成人におけるpopulation mean法のクリアランスは、4.8L/h(500mg bid)、5.9 L/h(1,500mg bid)であった。 結果を踏まえ、著者らは「体重やeGFRと非比例的に関連する経口クリアランスは、腎機能の変化した小児から高齢者において、ルーチンに治療薬物モニタリングデータを予測することができる。腎機能に基づく投与量の調整は、同質の範囲でトラフとピークの濃度をコントロールすることが可能である」とまとめている。 ■関連記事 日本人難治性てんかん、レベチラセタムは有用か てんかん重積状態に対するアプローチは 医学の進歩はてんかん発症を予防できるようになったのか 抗てんかん薬レベチラセタム、日本人小児に対する推奨量の妥当性を検証 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Ito S, et al. Ther Drug Monit. 2016 Feb 24. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] 複雑CAD併存の重症AS、FFRガイド下PCI+TAVI vs.SAVR+CABG/Lancet(2024/12/20) 慢性心血管系薬のアドヒアランス不良、リマインドメッセージでは改善せず/JAMA(2024/12/20) “Real-world”での高齢者に対するRSVワクチンの効果(解説:山口佳寿博氏/田中希宇人氏)(2024/12/20) 切除不能肝細胞がん、アテゾ+ベバがTACEの代替となる可能性/ESMO Asia2024(2024/12/20) EGFR陽性NSCLCの1次治療、オシメルチニブ+化学療法のアジア人データ(FLAURA2)/ESMO Asia2024(2024/12/20) 進行・再発子宮体がんの新たな治療選択肢/AZ(2024/12/20) 導入療法後に病勢進行のないHR+/HER2+転移乳がん1次治療、パルボシクリブ追加でPFS改善(PATINA)/SABCS2024(2024/12/20) 統合失調症発症後20年間における抗精神病薬使用の変化(2024/12/20) SGLT2阻害薬はがん発症を減らすか~日本の大規模疫学データ(2024/12/20) [ あわせて読みたい ] 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(5)(2019/01/08) 【GET!ザ・トレンド】脳神経細胞再生を現実にする(4)(2018/08/15) 今、注目のエビデンス(2018/07/02) 第4回 特別編 覚えておきたい熱中症の基本事項【救急診療の基礎知識】(2018/07/25) 民谷式 内科系試験対策ウルトラCUE Vol.2(2018/04/07) 長門流 認定内科医試験BINGO! 総合内科専門医試験エッセンシャル Vol.3(2017/06/07) ~プライマリ・ケアの疑問~ Dr.前野のスペシャリストにQ!【神経内科編】(2016/12/07) 総合内科専門医試験対策 “苦手”科目をクイック復習 2016 (2016/07/29) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.4(2016/06/07) 認定内科医試験完全対策 総合内科専門医ベーシック vol.3(2016/05/31)