腎機能に基づくレベチラセタム投与量の調整:京都大学

第2世代抗てんかん薬であるレベチラセタムは、部分発作の管理に使用される。投与量の約70%はそのまま尿中に排泄されるため、用量調節は個々の腎機能に基づくことが推奨されている。京都大学の伊藤 聡子氏らは、レベチラセタム治療のために、日常的にモニタリングされた血中濃度データを用いてレベチラセタムの母集団薬物動態モデルを開発した。Therapeutic drug monitoring誌オンライン版2016年2月24日号の報告。
対象患者は、2012年4月~13年3月に、京都大学病院で日常的に定常状態のレベチラセタム血中濃度が測定された患者。レベチラセタムの薬物動態における患者特性の影響は、非線形混合効果モデリング(NONMEM)プログラムを用い、評価した。
主な結果は以下のとおり。
・225例から得られた、合計583件の定常状態の血中濃度を解析に使用した。
・患者の年齢中央値は、38歳(1~89歳)であり、推定糸球体濾過率(eGFR)は、98mL(15~189mL)/分/1.73 mであった。
・レベチラセタムの血中濃度-時間データは、1次吸収のone-compartmentモデルにより十分に説明された。
・経口クリアランスは個々の体重やeGFRと非比例的に関連していた。
・投与量の増加は、経口クリアランスを有意に増加させた。
・モデル適合における改善は、任意の抗てんかん薬の共変量を含むことで観察されなかった。
・体重70kg、正常腎機能の成人におけるpopulation mean法のクリアランスは、4.8L/h(500mg bid)、5.9 L/h(1,500mg bid)であった。
結果を踏まえ、著者らは「体重やeGFRと非比例的に関連する経口クリアランスは、腎機能の変化した小児から高齢者において、ルーチンに治療薬物モニタリングデータを予測することができる。腎機能に基づく投与量の調整は、同質の範囲でトラフとピークの濃度をコントロールすることが可能である」とまとめている。
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(鷹野 敦夫)
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