2006年、Parker氏らは、さまざまなストレス要因や病前性格スタイルに起因する非メランコリー型うつ病の特定のサブタイプを分類するための新規アプローチとして、Temperament and Personality Questionnaire(T&P)を提案した。群馬病院の工藤 由佳氏らは、T&P日本語版を開発し、その信頼性と妥当性を評価した。その結果、T&P日本語版は、日本人非メランコリー型うつ病患者の気質や性格を評価するうえで、信頼性が高く、有効な尺度であることを報告した。Journal of affective disorders誌オンライン版2016年3月26日号の報告。
調査対象は、非メランコリー型うつ病患者114例。信頼性は、再テスト法を用いて評価した。T&Pの収束的妥当性を検証するため、8つのパーソナリティ特性と各患者の臨床医評価を比較した。また、T&Pによる抑うつ症状への影響も評価した。
主な結果は以下のとおり。
・T&Pの8つの要素の中での再検査法の相関係数は、0.77~0.89の範囲であり、優れた信頼性が示された。
・Anxious Worrying(rho=0.29)、Perfectionism(rho=0.17)、Personal Reserve(rho=0.18)、Irritability(rho=0.38)、Social Avoidance(rho=0.32)は適切なレベルの収束妥当性を示し、Rejection Sensitivity(rho=0.16)、Self-criticism(rho=-0.02)、Self-focus(rho=0.07)は比較的弱い収束妥当性を示した。
・Perfectionism(rho=-0.06)、Social Avoidance(rho=0.17)、Anxious Worrying(rho=0.40)、Personal Reserve(rho=0.30)、Irritability(rho=0.28)、Rejection Sensitivity(rho=0.35)、Self-criticism(rho=0.49)、Self-focus(rho=0.24)は、気分状態の影響に対する最低限の感受性を示した。
・本研究は、1施設のみで行われたという点で限定的である。またリッカート尺度を用いたが、臨床医によるパーソナリティ特性の評価は検証されてない。
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(鷹野 敦夫)