喘息様症状、COPD増悪に影響せず 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2016/06/14 喘息様症状を有するCOPD患者は、適切な治療の下では良好な臨床経過をたどることが、北海道大学医学部の鈴木 雅氏により報告された。American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine誌オンライン版2016年5月25日号掲載の報告。 COPD患者の中には、喘息の臨床的診断こそつかないものの、喘息様症状を有する患者が存在する。しかし、こうした喘息様症状とCOPDが重複する病態の臨床的意義は明確ではない。本研究では、北海道COPDコホート研究による10年間の追跡結果を用いて、適切な治療を行った場合に喘息様症状がCOPD患者の臨床経過にどのような影響をもたらすのかを評価した。 対象者は、呼吸器専門医によって喘息ではないと診断されたCOPD患者268例であった。喘息様症状には、気管支拡張薬による可逆性(ΔFEV1≧12% かつ ≧200mL)、血中好酸球の増多(≧300/μL)、アトピー(抗原吸入に対するIgE陽性反応)を含めた。初めの5年間は毎年、気管支拡張薬吸入後のFEV1変化率およびCOPDの増悪を観察し、死亡率は10年間を通して追跡した。 主な結果は以下のとおり。 ・全対象者のうち、57例(21%)が気管支拡張薬による可逆性、52例(19%)が血中好酸球の増多、67例(25%)がアトピーを持っていた。 ・気管支拡張薬吸入後のFEV1年間低下速度は、血中好酸球の増多がみられた患者で有意に遅かった。気管支拡張薬による可逆性とアトピーは影響しなかった。 ・いずれの喘息様症状も、COPD増悪との関連はみられなかった。喘息様症状が複数ある場合でも、気管支拡張薬吸入後のFEV1低下とCOPD増悪率は喘息様症状が1つ以下の患者と同様であったが、10年死亡率は喘息様症状が1つ以下の患者と比べて有意に低かった。 ■「COPD増悪」関連記事 COPD増悪抑制、3剤併用と2剤併用を比較/Lancet (ケアネット 細川 千鶴) 【訂正のお知らせ】 本文内の表記に誤りがあったため、一部訂正いたしました(2016年6月15日)。 原著論文はこちら Suzuki M, et al. Am J Respir Crit Care Med. 2016 May 25. [Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] TAVIへの脳塞栓保護デバイス、手技関連脳卒中を低減するか/NEJM(2025/07/08) 肥満症治療に変革をもたらすチルゼパチドへの期待/リリー(2025/07/08) 精神科医療現場の突然死に関連する要因と予防戦略(2025/07/08) サルコペニア・フレイル、十分なエビデンスのある栄養療法とは?初の栄養管理ガイドライン刊行(2025/07/08) 切迫性尿失禁の治療、マインドフルネスと脳刺激が有効か(2025/07/08) 高血圧に関する米国人の誤解の多さが明らかに(2025/07/08) 肥満を伴う閉塞性睡眠時無呼吸症候群、治療法の好みに医師と患者で違い(2025/07/08) 家庭における犬と猫の共存、その成功因子が明らかに(2025/07/08) [ あわせて読みたい ] EGFR変異陽性例のSCLC転化とは何なのか? どう対応するか?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第5回(2019/02/28) 志水太郎の診断戦略ケーススタディ(2019/02/15) 高齢者に対するICIは効きが悪い?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第4回(2019/01/17) Dr.長尾の胸部X線クイズ 上級編 (2019/01/15) オシメルチニブの耐性機序【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第3回(2018/12/14) 免疫チェックポイント阻害薬の再投与は有効か?【忙しい医師のための肺がんササッと解説】第1回(2018/11/02) Dr.小松のとことん病歴ゼミ (2018/09/07) 長門流 総合内科専門医試験MUST!2018 Vol.1(2018/07/25)