自閉症とADHD症状併発患者に対する非定型抗精神病薬の比較

提供元:ケアネット

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公開日:2016/06/30

 

 自閉症スペクトラム障害(ASD)とADHDは、しばしば併存する神経発達障害である。社会的状況、適応機能、実行機能の処理が欠損しているため、いずれか単独の患者よりも併発している患者ではより重篤な障害がみられる。イタリア・メッシーナ大学のMarco Lamberti氏らは、ASDとADHDを併発する患者に対し、ADHD症状を治療するためのリスペリドンおよびアリピプラゾールの有効性、忍容性を評価し、比較することを目的とした24週間のオープンラベルパイロット試験を行った。Paediatric drugs誌2016年8月号の報告。

 対象患者44例を、リスペリドン群22例、アリピプラゾール群22例に無作為に割り付け治療を開始した。小児の評価は、治療開始前(T0)、治療開始12週後(T1)、24週後(T2)に行った。各来院時に、2つの薬剤の有効性を評価するため、特定の精神科臨床スケールを実施した。

 主な結果は以下のとおり。

・平均年齢は、アリピプラゾール群8.4±2.9歳、リスペリドン群7.8±2.3歳であった。
・合計37例(男児:29例、女児8例)が試験を完了した(アリピプラゾール群18例、リスペリドン群:19例)。
・アリピプラゾールおよびリスペリドンの有効性、忍容性はわずかな違いはあるものの、同様のベネフィットが認められた。
・両群ともに、治療24週間後のADHD症状に有意な改善が認められた(ADHD臨床尺度、Conners Parent Rating Scale-Hyperactivity、CGI-S)。
・24週時点での各パラメータは、両群間で有意差は認められなかった。
・プロラクチンレベルは、アリピプラゾール群で減少していた。
・両群ともに、よい忍容性を示し、重篤な有害事象は認められなかった。

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(鷹野 敦夫)