労働者における腰痛が、仕事と家庭のアンバランスや好ましくない職場環境、雇用不安、長時間労働、医療従事者など特定の職業と関連していることが、米国・カリフォルニア大学アーバイン校のHaiou Yang氏らの横断的研究で示された。Journal of manipulative and physiological therapeutics誌オンライン版2016年8月25日号に掲載。
この研究は、米国の一般人集団の健康状態とそれに関連する危険因子の情報収集を目的とした2010年National Health Interview Surveyのデータを用いて行われた。腰痛有病率の加重データ計算には分散推定法を用い、性別・年齢で層別化した多変量ロジスティック回帰分析により、腰痛のオッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。仕事と家庭のアンバランス、好ましくない職場環境(脅かし、いじめ、嫌がらせなど)への曝露、雇用不安といった仕事関連の心理社会的な危険因子のほか、労働時間、職業、労働組織的因子(フリーランス・派遣などの標準以外の労働形態、夜間勤務・昼夜交替制などの労働スケジュール)についても検討した。
主な結果は以下のとおり。
・米国の労働者において、自己申告による過去3ヵ月の腰痛有病率は25.7%であった。
・女性および高齢の労働者の腰痛リスクが高かった。
・人口統計学的特性や他の健康関連因子を制御した場合、仕事と家庭のアンバランス(OR:1.27、95%CI:1.15~1.41)、好ましくない仕事環境への曝露(OR:1.39、95%CI:1.25~1.55)、雇用不安(OR:1.44、95%CI:1.24~1.67)といった心理社会的因子と腰痛の間に有意な関連が認められた。
・標準以外の労働形態の高齢労働者が腰痛を申告する傾向が強かった。
・労働時間が週41~45時間の女性および週60時間超の若年労働者で腰痛リスクが高かった。
・男性の医療従事者、女性や若年の医療支援従事者、女性の農業・漁業・林業従事者などで腰痛リスクが高かった。
(ケアネット 金沢 浩子)