緑内障治療に革新、ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズ

提供元:ケアネット

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公開日:2016/10/12

 

 ラタノプロスト持続溶出コンタクトレンズの開発が進められている。米国ハーバード・メディカル・スクールのJoseph B. Ciolino氏らは、カニクイザル緑内障モデルを用いて薬効薬理試験を行い、コンタクトレンズを介したラタノプロストの持続送達は、毎日点眼と比較して同等以上の眼圧低下効果があることを明らかにした。今後、忍容性良好かつ最大効果が得られる至適持続放出量を決定するため、さらなる研究が必要ではあるが、「コンタクトレンズによる薬物送達は、緑内障治療の選択肢ならびに眼薬物送達のプラットフォームになる可能性がある」と著者はまとめている。Ophthalmology誌2016年10月号(オンライン版2016年8月29日号)掲載の報告。

 研究グループは、アルゴンレーザー線維柱帯形成術によって片眼に緑内障を誘発した雌のカニクイザルを用い、ラタノプロスト溶出コンタクトレンズの眼圧低下効果を評価する3群クロスオーバー試験を行った。ラタノプロスト溶出コンタクトレンズ(低用量溶出および高用量溶出)は、メタフィルコンハイドロゲルの表面に薄いラタノプロスト・ポリマー膜を封入したものをコンタクトレンズ(CL)に加工した。

 各サルに、1週間低用量溶出CL装着、5日間ラタノプロスト点眼および1週間高用量溶出CL装着の3群の治療を3週間間隔で順次行った。各試験群の開始前連続2日間、1時間ごとに連続7回眼圧を測定してベースラインの眼圧とし、開始後は3日目、5日目および8日目に眼圧を測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・点眼群では、ベースラインからの眼圧低下が3日目で5.4±1.0mmHg、最大低下は5日目で6.6±1.3 mmHgであった。
・低用量溶出CL群では、3日目、5日および8日目のベースラインからの眼圧低下はそれぞれ6.3±1.0mmHg、6.7±0.3mmHgおよび6.7±0.3mmHgであった。
・高用量溶出CL群では、同様にそれぞれ10.5±1.4、11.1±4.0と10.0±2.5mmHgであった。
・低用量溶出CL群と高用量溶出CL群の眼圧は、ほとんどの測定ポイントで未治療時のベースラインの眼圧より有意に低かった。
・高用量溶出CL群では、3日目、5日目、および8日目のいくつかの測定ポイントで、点眼群より眼圧低下が大きかった(それぞれp=0.001、p=0.015、p<0.05)。

(ケアネット)