非小細胞肺がん脳転移に対する全脳照射追加の意義

提供元:ケアネット

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公開日:2016/10/14

 

 著者らは、非小細胞肺がん(以下、NSCLC)の脳転移において、生存率とQOLへ悪影響を及ぼすことなく全脳照射(以下、WBRT)が省略できるかを評価するために、QUARTZ(The Quality of Life after Treatment of Brain Metastases)研究を実施した。Paula Mulvenna氏らによるLancet誌オンライン版9月4日号の掲載の報告。

 同試験は非劣性、第III相無作為化比較試験。手術切除または定位放射線照射不適応の脳転移NSCLC患者を無作為にWBRT+デキサメタゾン含む最適サポーティブ・ケア(Optimal Supportive Care、以下OSC)群とOSC単独群に割り付けた。主要評価項目は質調整生存年(QALY:quality adjusted life-years)である。OSC群の非劣性は、WBRT群から7QALY日以内の短縮とした。副次的評価項目は全生存期間(OS)およびQOL。

 主な結果は以下のとおり。

・538例の患者が登録され、WBRT+OSC群269例、OSC単独群269例に無作為に割り付けられた。
・QALYはWBRT+OSC群で平均46.3日、OSC単独群41.7日、差は4.7日であった。
・OSはWBRT+OSC群9.2週、OSC単独群8.5週(HR:1.06、95%CI:0.90~1.26、p=0.8084)。
・QOLは4、8、12週の評価で両群に有意な差はみられなかった。
・眠気、脱毛、嘔気、頭皮の乾燥と掻痒がWBRT+OSC群で報告された。

 主要評価項目は事前に設定した非劣性マージン内であり、WBRTの追加による臨床的ベネフィットは証明されなかった。

(ケアネット 細田 雅之)