第28回年次経カテーテル心臓血管治療法(TCT)、循環器病研究財団(CRF)の年次学術シンポジウムは、次世代の生体吸収性ステントとなりうる、新たなステントに関する数多くの初回報告研究を特集した。
FANTOM II:放射線不透過性のデスアミノチロシン・ポリカーボネートベースのシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドの臨床および血管造影の6ヵ月、9ヵ月結果
Alexandre Abizaid氏
FANTOM II試験は、放射線不透過性のデスアミノチロシン・ポリカーボネートベースのシロリムス溶出生体吸収性血管スキャフォールド(Fantom)による、冠動脈ステント留置の安全性と性能を調べた。主要エンドポイントは、6ヵ月時の主要有害心イベント(MACE)と晩期内腔損失(LLL)の発生率であった。
この前向き多施設共同試験では、8ヵ国28の試験実施施設から合計240例の患者が登録された。患者は6ヵ月の血管造影評価(コホートA)と9ヵ月のコホートBに登録された。コホートA は117例、コホートB群は123例であった。コホートAのLLL平均値は0.25±0.40mmであった。6ヵ月の時点での、双方のコホートにおけるMACEの発生率は2.1%であった。
MeRes-1: PLLAベース薄型ストラットのシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールドの臨床、血管造影、IVUSおよびOCTの6ヵ月結果
Ashok Seth氏
PLLAベース薄型ストラットの新たなシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(MeRes100)のファースト・イン・マン試験の結果、6ヵ月で主要有害心イベント(MACE)はみられず、安全かつ有効であることが示された。
MeRes100は、中央のオープンセルとエッジのクローズドセルという独特なハイブリッドデザインの100μm薄型ストラットPLLAベースのロープロファイルBRSである。追従性と側枝へのアクセスを改善している。また、各端の3つの放射線不透過性円周マーカーが視認性を高めている。
このMeRes100 BRSの前向き多施設単群試験では、2015年5月から2016年4月にかけて、インドの16カ所から108例の患者(116病変)が登録された。主要評価項目は、心臓死、心筋梗塞、虚血による標的病変血行再建(ID-TLR)、および虚血による標的血管血行再建(ID-TVR)の複合による主要有害心イベント(MACE)。副次的評価項目は、6ヵ月時点のスキャフォールド血栓症(ST)であった。当試験では、スキャフォールド留置後6ヵ月の追跡期間でMACEまたはSTはみられなかった。6ヵ月の定量的冠動脈解析(QCA)では、晩期内腔損失は0.15±0.26mmと非常に良好であった。IVUS、OCT分析では、リコイルはみられず、ほぼ完全な新生内膜による被覆(99.3%)を示した。
FUTURE-I:PLLAベース薄型ストラットのシロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド6ヵ月の臨床的、血管造影、IVUS、OCTの結果
Bo Xu氏
FUTURE-Iは、PLLAベース薄型ストラット(100~125μm)シロリムス溶出生体吸収性スキャフォールド(Firesorb BRS)による単独のde novo冠動脈病変患者に対する、実現可能性、安全性と有効性の予備的な評価を試みた前向き単一施設ファースト・イン・マン試験である。
2016年1~3月に合計45例の患者の標的病変45個が登録された。BRSの留置成功後、45例を2つの異なる追跡コホートに2:1で無作為に割り付けた。コホート1の患者30例は6ヵ月と24ヵ月に、残りのコホート2の患者は、12ヵ月と36ヵ月に血管造影、IVUS、OCTによるイメージングの追跡を受ける。主要評価項目の30日間の標的病変不全の発生率は0%で、スキャフォールド血栓症もみられなかった。コホート1における患者指向の複合評価項目(全死亡、全心筋梗塞、または血行再建術)は、6ヵ月で3.3%であった。 そのうち1例の患者には、非STEMIのため、初回治療の1日後に非標的血管の血行再建術を施行した。6ヵ月追跡における晩期内腔損失は0.15mm、IVUSで確認した晩期リコイルの発生率は0.76%、OCTで確認した7患者の完全被覆を含めストラット被覆率は98.4%であった。
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(ケアネット 細田 雅之)