ベンゾジアゼピン(BZP)は、先進国のとくに高齢の患者に対し広く用いられている。しかし、BZPは記憶および認知機能に影響を及ぼし、認知症リスクを高める可能性があることが知られている。台湾・台北医学大学のMd Mohaimenul Islam氏らは、BZPと認知症リスクとの関連を評価した観察研究をレビューした。Neuroepidemiology誌オンライン版2016年12月24日号の報告。
認知症アウトカムに対するBZP使用リスクを評価するため、観察研究のシステマティックレビュー、メタ解析を行った。検討には、BZP使用患者と対照群における認知症アウトカムを比較したすべての対象観察研究を含んだ。ランダム効果モデルを用いて、プールされたORを算出した。システマティックレビューには10件(3,696例)が含まれ、そのうち8件はランダム効果メタ解析、感度分析に含めた。
主な結果は以下のとおり。
・BZP使用患者における認知症オッズは、BZP未使用患者と比較し、78%高かった(OR:1.78、95%CI:1.33~2.38)。
・サブグループ分析では、アジアの研究において高い相関が認められ(OR:2.40、95%CI:1.66~3.47)、北米(OR:1.49、95%CI:1.34~1.65)および欧州(OR:1.43、95%CI:1.16~1.75)の研究において中等度の相関が認められた。
・糖尿病、高血圧、心疾患、スタチン系薬剤は、認知症リスク上昇と関連していたが、BMIは負の相関が認められた。
・主要な分析および大部分の感度分析において、研究間に統計学的および臨床的に有意な異質性が認められた。
著者らは「本検討により、BZP使用と認知症リスクには有意な関連が示唆された。しかし、観察研究では、観察された疫学的関連性が因果関係であるのか、未測定の交絡因子の結果であるのかを明らかにすることができなかった。この関連を明らかにするためにも、より多くの研究が必要である」としている。
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