白質の重症度で各抗認知症薬の効果に違い:岡山大

提供元:ケアネット

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公開日:2017/04/04

 

 岡山大学の福井 裕介氏らは、4種類の抗認知症薬、ドネペジル、ガランタミン、リバスチグミン、メマンチンの臨床効果について、脳室周囲病変(PVH)の重症度に基づきサブグループ化を行ったアルツハイマー型認知症患者を対象に検討を行った。Geriatrics & gerontology international誌オンライン版2017年3月9日号の報告。

 アルツハイマー型認知症患者551例(男性:201例、女性:350例)を、PVHの重症度に基づき4群に分類した(Grade 0~III)。対象患者には、12ヵ月間の単独療法を行った。ベースライン時、治療開始3、6、12ヵ月後の臨床効果を比較した。

 主な結果は以下のとおり。

・ベースライン時の年齢によりPVH Gradeは高くなり、ミニメンタルステート検査(MMSE)、改定長谷川式認知症スケール(HDS-R)は、白質の重症度に依存して減少した。
・PVH Grade 0では、すべての薬剤において12ヵ月間、安定した認知機能、情動機能、ADL機能を示した。
・PVH Grade Iでは、ベースラインからのやる気スコア(Apathy Scale)の改善が、メマンチンで3、9ヵ月後(p<0.05)、ガランタミンで9ヵ月後(p<0.01)に認められた。
・PVH Grade IIでは、ガランタミンにおいて、9ヵ月後のMMSE(p<0.05)と3ヵ月後のHDS-R(p<0.05)の有意な改善が認められた。
・PVH Grade IIIでは、すべての薬剤において12ヵ月間、認知機能および情動機能が保持されたが、リバスチグミンでは、6、12ヵ月後にADLの悪化が認められた(p<0.05)。

 著者らは「4種類の抗認知症薬は、白質の重症度に応じて、臨床的な認知機能、情動機能、ADLに影響を及ぼすことが示された」としている。

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(鷹野 敦夫)