臓器移植後の皮膚疾患、人種間の違いは?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/04/05

 

 米国では、白人レシピエントの皮膚がんリスクについて特徴づけがされているが、臓器移植待機リストの大半を占める非白人については、皮膚疾患および皮膚がんリスクについてほとんど検討されていなかった。米国・ドレクセル大学のChristina Lee Chung氏らは、レシピエント412例の医療記録をレビューし、白人では悪性疾患が最も多いが非白人では感染症や炎症性疾患が多いこと、日光に曝されている部位での病変が最も多いのは白人とアジア人であること、一方で黒人レシピエントの病変の3分の2は日光に曝されていない部位での発症であることなどを明らかにした。JAMA dermatology誌オンライン版2017年3月8日号掲載の報告。

 検討は、2011年11月1日~2016年4月22日の、1大学で治療を受けた412例の臓器移植レシピエントの医療記録をレビューして行われた。

 皮膚疾患の有病率および特徴を、白人154例と非白人(アジア人、ヒスパニック、黒人など)258例で比較した。人口統計学的特性、がんの頻度やタイプ、解剖学的な発症部位、経過時間、日光曝露、またリスクに対する認識や予防的行動などを包含し、皮膚疾患とその他診断の臨床的因子についてレシピエント間で評価した。
 主要評価項目は、一次診断が、がんまたは前がん病変、感染症、炎症性疾患とした。

 主な結果は以下のとおり。

・412例は、男性264例(64.1%)、女性148例(35.9%)、平均年齢は60.1歳(範囲32.1~94.3歳)であった。
・白人レシピエントについて、初回外来受診で頻度が高かったのは、悪性疾患の診断であった(82例[67.8%])。一方で、非白人は感染症(63例[37.5%])と炎症性疾患(82例[48.8%])が多かった。
・皮膚がんの診断は、白人レシピエントでは64例(41.6%)、非白人レシピエントでは15例(5.8%)であった。
・白人とアジア人のレシピエントの大半の病変部位が、日光曝露域であった(それぞれ79.5%[294/370例]、83.3%[5/6例])。
・黒人レシピエントでは、日光非曝露域(とくに性器)の病変が多かった(66.7%[6/9例])。
・非白人レシピエントは、白人レシピエントと比較して、定期的な皮膚科検査の受診(11.4%[5例] vs. 36.4% [8例])、皮膚がんの兆候への理解(25.0%[11例] vs. 45.4%[10 例])がともに低かった。

 非白人レシピエントの早期治療では、炎症性および感染性の疾患にフォーカスをすること、白人・アジア人・ヒスパニックレシピエントに対しては日焼け予防を強調すること、黒人レシピエントには、ヒトパピローマウイルス感染のサインを見逃さないように助言することが必要であると思われた。

 一方で、移植後の皮膚疾患は人種や民族性に依拠している可能性はあるが、ベースラインでは、すべての患者であらゆるスキン評価を行うべきであると著者は述べている。

(ケアネット)