最近の観察研究では、白米摂取と糖尿病リスクの間に正の相関関係が、また、緑茶・コーヒー摂取と糖尿病リスクの間に保護的な関連が示唆されている。しかし、これらの飲食物の相互作用は検討されていない。今回、九州大学の平田 明恵氏らが実施したわが国の高齢者における前向き研究において、米の摂取量と糖尿病リスクの正相関は女性でのみ認められ、その相関は緑茶を多く摂取することで抑制される可能性が報告された。Asia Pacific journal of clinical nutrition誌2017年5月号に掲載。
本研究のベースライン調査(2004~07年)に参加した日本人の男女のうち、1万1,717人(91%)が追跡調査(2010~12年)に応じた。多重ロジスティック回帰分析を用いて、穀物食品(米、パン、麺など)、緑茶、コーヒーのそれぞれで摂取量別の糖尿病発症のオッズ比を算出し、さらに米摂取による糖尿病リスクの増加が緑茶とコーヒーの摂取でどう変化するかを調べた。
主な結果は以下のとおり。
・糖尿病の新規発症が464例で確認された。
・女性のみ、米の摂取量と糖尿病発症の間に正相関が示され(傾向のp=0.008)、緑茶の摂取量と糖尿病発症の間に逆相関を示した(傾向のp=0.02)。
・コーヒーは男女共に糖尿病発症との関連が認められなかった。
・緑茶摂取量による層別解析で、緑茶を1日7杯以上摂取する女性では、米の摂取量と糖尿病発症の関連が消失した(相互作用のp=0.08)。
(ケアネット 金沢 浩子)