CDK4/6選択的阻害薬abemaciclibのフルベストラントとの併用における忍容性と臨床活性が第III相試験であるMONARCH 2試験で支持された。米国臨床腫瘍学会年次大会(ASCO2017)においてスタンフォード大学のGeorge W. Sledge氏が発表した。
MONARCH 2試験は、ホルモン受容体陽性HER2陰性進行乳がんで内分泌療法を受けた女性669例を対象とした第III相二重盲検試験。対象はネオアジュバント/アジュバント内分泌療法で進行した患者、または転移のある乳がんで初回内分泌療法で進行した患者。参加者は、abemaciclib+フルベストラント(A+F)群とプラセボ+フルベストラント(P+F)群に2:1に無作為に割り当てられた。
主要評価項目は、治験担当者評価による無増悪生存期間(PFS)、副次的評価項目は、客観的奏効率(ORR)、その他の有効性および安全性であった。abemaciclib+フルベストラント群のハザード比(HR)は0.703と仮定した。
結果、19.5ヵ月間の追跡期間(中央値)のPFSは、A+F群で16.4ヵ月、P+F群で9.3ヵ月と、A+F群で有意に改善した(HR:0.553、95%CI:0.449~0.681、p<0.0000001)。また、測定可能な疾患を有する患者のORRは、A+F群で48.1%、P+F群では21.3%と、A+F群で2倍以上の結果となった。A+F群で多く見られた治療関連有害事象は、下痢86.4%(P+F群24.7%)、好中球減少46.0%(P+F群4.0%)、悪心45.1%(P+F群22.9%)、疲労感39.9%(P+F群26.9%)であった。Sledge氏は、下痢は早期に起こり(典型的には初回の治療サイクルで発現)、その強度と頻度はabemaciclibの開始用量と強く関連していると解説した。
DiscussantであるIngrid A. Mayer氏(Vanderbilt-Ingram Cancer Center and Vanderbilt University Medical Center)は、MONARCH 2試験におけるPFSと最近公表されたPALOMA-3試験(palbociclib+フルベストラントまたはプラセボの試験)の結果との違いについて触れた。HRが同等であるにもかかわらずPALOMA-3試験のPFSがMONARCH 2試験より短い(palbociclib群9.5ヵ月、プラセボ群4.6ヵ月)のは、MONARCH 2試験の被験者の適格基準は化学療法未経験であるが、PALOMA-3試験には化学療法経験者が含まれていたことによるものであると述べた。
この試験結果は、学会発表と同時にJournal of Clinical Oncology誌で公開された。
■参考
ASCO2017 Abstract
Sledge GW, et al. J Clin Oncol.2017 Jun 3.[Epub ahead of print]
MONARCH 2試験(Clinical Trial.gov)
(ケアネット 細田 雅之)