食事のタイミングが体内時計を調節

提供元:ケアネット

印刷ボタン

公開日:2017/07/28

 

 人間の概日系に対する食事のタイミングの影響についてあまりよくわかっていない。今回、英国・サリー大学のSophie M.T. Wehrens氏らの研究で、人間の分子時計が食事時刻によって調節される可能性が示された。決まった食事時刻は、末梢の概日リズムを同期させる役割を果たしており、とくに概日リズム障害患者、交代制勤務者、子午線を超える旅行者で関係するかもしれない。Current biology誌2017年6月19日号に掲載。

 本研究では、食事時刻を5時間ずつ遅らすことによる、マスタークロックと末梢の概日リズムのマーカーへの影響を調べた。健康な若者10人が13日間の実験に参加し、起床後0.5時間もしくは5.5時間に食事を開始、それぞれ5時間間隔で3回(朝、昼、夕)食事した。参加者は早い食事に順応した後、遅い食事を6日間実施した。各食事スケジュールの終了後に、1時間おきに同等のカロリーのスナックと置き換える間に睡眠および環境のリズムを取り除いた、37時間の定常検査方式で、参加者の概日リズムを測定した。

 主な結果は以下のとおり。

・定常検査方式では、主観的な空腹や眠気のリズム、マスタークロックマーカー(血漿メラトニン、血漿コルチゾール)、血漿トリグリセライド、全血中の時計遺伝子発現に、食事のタイミングは影響しなかった。

・遅い食事スケジュール後、血漿グルコースリズムは5.69±1.29時間遅延し(p<0.001)、平均グルコース濃度は0.27±0.05mM減少した(p<0.001)。

・脂肪組織では、PER2 mRNAリズムが0.97±0.29時間遅れた(p<0.01)。

(ケアネット 金沢 浩子)