ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害薬とメラノーマとの関連が議論の的となっているが、米国・インディアナ大学のHuilin Tang氏らは、観察研究のメタ解析を行い、PDE5阻害薬の使用がメラノーマおよび基底細胞がんの発症リスク増加とわずかだが有意に関連していることを明らかにした。なお、結果について著者は、「潜在的な交絡因子のコントロールが一貫していない、異質性のある観察研究のみが解析対象となっていることに、研究の限界がある」と述べている。Journal of the American Academy of Dermatology誌オンライン版2017年7月17日号掲載の報告。
研究グループは、PDE5阻害薬の使用とメラノーマとの関連を定量化する目的で、PubMed、Embase、Cochrane Central Register of Controlled Trials、Web of ScienceおよびClinicalTrials.govのデータベースを用い、2016年7月13日までに実施された研究を検索した。PDE5阻害薬と皮膚がんとの関連について、ランダム効果モデルを用いてメタ解析を行い、補正オッズ比(OR)と95%信頼区間(CI)を算出した。
主な結果は以下のとおり。
・5件の観察研究が組み込まれた。
・PDE5阻害薬の使用は、不使用と比較してメラノーマ(OR:1.12、95%CI:1.03~1.21)および基底細胞がん(OR:1.14、95%CI:1.09~1.19)の発症リスク増加とわずかではあるが有意に関連していた。
・扁平上皮がんとは関連していなかった。
・事前に設定された因子(PDE5阻害薬の用量、研究デザインおよび研究地域)はいずれも、メラノーマのリスクに関する結果に有意な影響を及ぼさなかった(p>0.05)。
・感度解析においても同様の結果が確認された。
(ケアネット)