認知障害は健康に影響する重要な要素であり、早期診断が重要である。今回、久留米大学の福本 義弘氏らの研究グループが、比較的若年の集団において、認知機能が血清シスタチンCおよび微量アルブミン尿と有意に逆相関することを初めて証明した。Atherosclerosis誌オンライン版2017年8月26日号に掲載。
本研究の被験者は、2009年に田主丸(福岡県久留米市)で健康診断を受けた1,943人(男性774人、女性1,169人、平均年齢65.8歳)。被験者の認知機能はmini-mental state examination(MMSE)を用いて評価し、血清シスタチンCはラテックス免疫比朧法を用いて測定した。また、微量アルブミン尿は随時尿で測定した。MMSEスコアとシスタチンCまたは微量アルブミン尿との関係は、多変量線形回帰分析を用いて評価した。すべての統計分析はSASシステムを用いて行った。
主な結果は以下のとおり。
・血清シスタチンCと微量アルブミン尿をそれぞれ対数変換した平均値は、0.95(範囲:0.41~7.11)mg/L、10.7(範囲:1.1~2,600)mg/g・Crであった。
・MMSEスコアの平均は27.7±2.5であった。
・年齢および性別を調整した多変量線形回帰分析では、MMSEは収縮期血圧(p=0.024、逆相関)、シスタチンC(p=0.046、逆相関)、微量アルブミン尿(p=0.019、逆相関)と有意に関連を示したが、推算糸球体濾過量(eGFR)との関連は有意ではなかった(p=0.197)。
・段階的重回帰分析では、年齢、脳卒中歴、収縮期血圧、血清シスタチンCが独立してMMSEスコアと関連していた。
(ケアネット 金沢 浩子)