durvalumab維持療法、Stage III肺がんのPFSを有意に改善(PACIFIC)/ESMO2017

提供元:ケアネット

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公開日:2017/09/14

 

 切除不能な局所進行Stage III肺がんに対するdurvalumab維持療法が、無増悪生存期間(PFS)を有意に改善。抗PD-L1抗体durvalumabの第III相PACIFIC試験の最新の結果を2017年9月9日、スペイン・マドリードで行われた欧州臨床腫瘍学会(ESMO2017)でスペインHospital Universitario de OctubreのLuis Paz-Ares氏が発表した。

 PACIFIC試験は、プラチナベース化学療法と放射線の同時併用療法後に進行が認められないStage IIIのNSCLC患者において、抗PD-L1抗体durvalumab維持治療を標準療法と比較する第III相試験である。

 NSCLCと診断される患者の3分の1はStage IIIである。PS良好なStage III NSCLCの標準治療は、プラチナ併用療法を用いたCCRTであるが、CCRT開始からのPFS中央値は8~10ヵ月、5年生存率は15%程度で良好な成績とはいえず、新たな治療が望まれていた。

 PACIFIC試験では、切除不能な局所進行(Stage III)NSCLCと診断され、2サイクル以上のプラチナ・ベースのCCRT後に病勢進行が認められない患者を対象とし、CCRT後42日間に、durvalumab(10mg/kg、2週ごと最大12ヵ月投与)群とプラセボ群に2:1の割合で無作為に割り付けを行った。患者はPD-L1発現状況にかかわらずに登録された。

 主要評価項目は、盲検化独立判定委員会評価のPFSと全生存期間(OS)。副次評価項目は奏効率(ORR)、奏効期間(DOR)、安全性などであった。本試験は、Stage III NSCLC患者に対する免疫チェックポイント阻害薬の効果を評価した初めての第III相試験である。

 2014年5月~2016年4月に713例が登録され、durvalumab群に473例、プラセボ群に236例が割り付けられた。患者背景には大きな偏りはなかった。PD-L1発現25%未満は、durvalumab群とプラセボ群でそれぞれ、39.3%と44.3%。発現25%以上は24.2%と18.6%、不明は36.6%と37.1%であった。

 今回の発表は、追跡期間14.5ヵ月(データカットオフ2017年2月13日)におけるPFSの中間解析の結果である。主要評価項目のPFSは、durvalumab群16.8ヵ月(13.0~18.1)、プラセボ群5.6ヵ月(4.6~7.8)と、durvalumab群で有意なPFSの延長が認められた(HR:0.52、95%CI:0.42~0.65、p<0.0001)。PFSのサブグループ解析では、EGFR変異陽性または不明のサブグループを除き、durvalumab群が一貫して優位であった。また、いずれのPD-L1発現状況(25%未満、25%以上、不明)においても、durvalumab群が優位であることが示された。

 副次評価項目であるORRは、durvalumab群28.4%、プラセボ群16.0%と、durvalumab群で有意な改善がみられた(p<0.001)。DORは、durvalumab群では未到達、プラセボ群は13.8ヵ月と、durvalumab群で延長が認められた(HR:0.43、95%CI:0.22~0.84)。遠隔転移または死亡までの期間は、durvalumab群23.2ヵ月(23.2~未到達)、プラセボ群14.6ヵ月(10.6~18.6)と、durvalumab群で有意に延長していた(HR:0.52、95%CI:0.39~0.69、p<0.0001)。なお、OSについては、解析に十分なイベントが発生していなかった。

 durvalumab群の安全性プロファイルは、進行NSCLCに対する単剤療法の場合と同様であり、本試験で新たな有害事象(AE)の発現は認められなかった。Grade 3/4のAE発現頻度はdurvalumab群で29.9%、プラセボ群で26.1%であり、AEによる治療中止はdurvalumab群15.4%、プラセボ群9.8%であった。Grade 3/4の肺臓炎または放射線肺臓炎の発現頻度はdurvalumab群で3.4%、プラセボ群で2.6%であり、これらによる死亡は、それぞれ1.1%と1.7%であった。

 以上の結果より、「durvalumabはIII期NSCLC患者に対するCCRT後の治療オプションとして有望である」とPaz-Ares氏は述べた。

 この結果は、同時にNew England Journal of Medicine誌に掲載された。

■参考
ESMO2017プレスリリース
Antonia SJ, et al.N Engl J Med. 2017 Sep 8.[Epub ahead of print]
PACIFIC試験(Clinical Trials.gov)

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(ケアネット)