双極性障害(BD)において摂食障害(ED)は一般的に認められるが、その縦断的な因果関係についてはほとんど知られていない。米国・スタンフォード大学のDanielle R. Balzafiore氏らは、EDの有無によるBD患者の有病率、臨床的相関、縦断的うつ病重症度を評価した。International journal of bipolar disorders誌2017年12月号の報告。
2000~11年にスタンフォード大学BDクリニックに紹介された外来患者を、STEP-BD(Systematic Treatment Enhancement Program for Bipolar Disorder)感情障害評価で評価し、2年間の自然な治療をし、STEP-BD臨床モニタリングフォームで観察した。有病率、患者背景、疾患の特徴、現在の気分症状、向精神薬の使用、縦断的うつ病重症度に関して、生涯EDの有無で比較した。
主な結果は以下のとおり。
・503例のBD外来患者のうち、76例(15.1%)が生涯EDを有していた。
・生涯EDと関連が認められた因子は、次のものであった。
◆女性
◆生涯不安合併率の高さ
◆アルコールおよび物質使用
◆パーソナリティ障害
◆小児BD発症
◆エピソードの蓄積(10回以上の気分エピソード)
◆自殺企図歴
◆現在の症候性/亜症候性うつ症状
◆悲哀
◆不安
◆抗うつ薬使用
◆早期BD発症年齢
◆現在の全体的なBD重症度の高さ
・現在のうつ病患者のうち、生涯EDを有する29例は、生涯EDなしの124例と比較し、うつ病の回復が有意に遅延していた。
・8週間以上躁うつ症状が寛解している患者のうち、生涯EDを有する10例は、生涯EDなしの95例と比較し、有意ではないものの急速にうつ症状が再発していた。
・なお、本研究の対象は、白人、保険加入者、郊外の患者、米国の専門診療のサンプルであり、EDから回復した患者が少数であったことなど、統計的な制限があった。
著者らは「EDがBD患者の縦断的うつ病重症度にどの程度影響するかを調査するためには、さらなる研究が必要である」としている。
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(鷹野 敦夫)