双極性障害患者の摂食障害合併、傾向と予後は 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/09/14 双極性障害(BD)において摂食障害(ED)は一般的に認められるが、その縦断的な因果関係についてはほとんど知られていない。米国・スタンフォード大学のDanielle R. Balzafiore氏らは、EDの有無によるBD患者の有病率、臨床的相関、縦断的うつ病重症度を評価した。International journal of bipolar disorders誌2017年12月号の報告。 2000~11年にスタンフォード大学BDクリニックに紹介された外来患者を、STEP-BD(Systematic Treatment Enhancement Program for Bipolar Disorder)感情障害評価で評価し、2年間の自然な治療をし、STEP-BD臨床モニタリングフォームで観察した。有病率、患者背景、疾患の特徴、現在の気分症状、向精神薬の使用、縦断的うつ病重症度に関して、生涯EDの有無で比較した。 主な結果は以下のとおり。 ・503例のBD外来患者のうち、76例(15.1%)が生涯EDを有していた。 ・生涯EDと関連が認められた因子は、次のものであった。 ◆女性 ◆生涯不安合併率の高さ ◆アルコールおよび物質使用 ◆パーソナリティ障害 ◆小児BD発症 ◆エピソードの蓄積(10回以上の気分エピソード) ◆自殺企図歴 ◆現在の症候性/亜症候性うつ症状 ◆悲哀 ◆不安 ◆抗うつ薬使用 ◆早期BD発症年齢 ◆現在の全体的なBD重症度の高さ ・現在のうつ病患者のうち、生涯EDを有する29例は、生涯EDなしの124例と比較し、うつ病の回復が有意に遅延していた。 ・8週間以上躁うつ症状が寛解している患者のうち、生涯EDを有する10例は、生涯EDなしの95例と比較し、有意ではないものの急速にうつ症状が再発していた。 ・なお、本研究の対象は、白人、保険加入者、郊外の患者、米国の専門診療のサンプルであり、EDから回復した患者が少数であったことなど、統計的な制限があった。 著者らは「EDがBD患者の縦断的うつ病重症度にどの程度影響するかを調査するためには、さらなる研究が必要である」としている。 ■関連記事 摂食障害への薬物療法、最新知見レビュー 双極性障害に対する抗うつ薬治療、その是非は 双極性障害に対するアジュバント介入~メタ解析 (鷹野 敦夫) 原著論文はこちら Balzafiore DR, et al. Int J Bipolar Disord. 2017;5:25. 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) 関連記事 双極性障害で過食行動を合併しやすい患者の特徴 医療一般(2017/09/28) 摂食障害の薬物療法に関するWFSBPガイドライン2023 医療一般(2023/08/02) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] ATTR型心アミロイドーシス、CRISPR-Cas9遺伝子編集療法が有望/NEJM(2024/12/23) 更年期のホルモン補充療法、心血管疾患のリスクは?/BMJ(2024/12/23) 完璧なHIV感染予防法にアクセスできるのは?(解説:岡慎一氏)(2024/12/23) 温水洗浄便座を使用する?しない?その理由は/医師1,000人アンケート(2024/12/23) 38種類の抗うつ薬と自殺リスク、小児に対するブラックボックス警告はいまだに有効か(2024/12/23) 帯状疱疹ワクチン、65歳を対象に定期接種化を了承/厚労省(2024/12/23) TN乳がん術前化学療法への周術期アテゾリズマブ上乗せ、EFSを改善せず/SABCS2024(2024/12/23) 増える成人食物アレルギーと新規アレルゲン、「食べたい」に応えるために/日本アレルギー学会(2024/12/23) 「ストレス食い」の悪影響、ココアで軽減の可能性(2024/12/23) [ あわせて読みたい ] Dr.大塚の人生相談(2024/02/26) 災害対策まとめページ(2024/02/05) IBD(炎症性腸疾患)特集(2023/09/01) 旬をグルメしながらCVIT誌のインパクトファクター獲得を祝福する【Dr.中川の「論文・見聞・いい気分」】第63回(2023/08/29) エキスパートが教える痛み診療のコツ(2018/10/11) 医療者向け『学校がん教育.com』(2022/12/01) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) アトピー性皮膚炎・乾癬特集まとめインデックス(2022/11/11) 診療所売買に関心がある方に!マンガ連載をまとめた冊子プレゼント【ひつじ・ヤギ先生と学ぶ 医業承継キソの基礎 】第43回(2022/10/17) 今考える肺がん治療(2022/08/24)