摂食障害の薬物療法に関する世界生物学的精神医学会連合(WFSBP)のガイドライン2023では、診断および精神薬理学的進歩、エビデンスレベル、推奨度などの評価に関して、最新の推奨内容に更新されている。英国・キングス・カレッジ・ロンドンのHubertus Himmerich氏らは、本ガイドラインの更新内容のレビューを行った。The World Journal of Biological Psychiatry誌オンライン版2023年4月24日号の報告。
摂食障害の薬物療法に関するガイドラインで神経性過食症にトピラマート推奨
摂食障害のWFSBPタスクフォースは、関連文献をレビューし、エビデンスレベルおよび推奨度のランク付けを行った。
摂食障害の薬物療法に関するガイドラインの更新内容のレビューを行った主な結果は以下のとおり。
・神経性やせ症に関しては、利用可能なエビデンスが体重増加に限定されており、精神病理に対するオランザピンの影響もあまり明確ではないことから、オランザピンに対する推奨度は限定的であった。
【神経性やせ症】オランザピン(エビデンスレベル:A、推奨度:2)
・神経性過食症に関しては、現在のエビデンスにおいてfluoxetineおよびトピラマートが推奨された。
【神経性過食症】fluoxetine(エビデンスレベル:A、推奨度:1)
【神経性過食症】トピラマート(エビデンスレベル:A、推奨度:1)
・過食性障害に関しては、リスデキサンフェタミンおよびトピラマートが推奨された。
【過食性障害】リスデキサンフェタミン(エビデンスレベル:A、推奨度:1)
【過食性障害】トピラマート(エビデンスレベル:A、推奨度:1)
・回避・制限性食物摂取症(ARFID)、異食症、反芻症/反芻性障害に対する薬物療法のエビデンスは、非常に限られていた。
・オランザピンやトピラマートは、これらのエビデンスがあるにもかかわらず、摂食障害での使用に関していずれの医薬品規制当局からも承認を取得していない。
(鷹野 敦夫)