これまでの研究では主に、晩年における脂質レベルとその後の認知機能変化との関連を検討しているが、晩年よりも中年期でのリスク因子が認知機能の健康に最も関連していることが多い。今回、米国・ジョージワシントン大学のMelinda C. Power氏らは、コホート研究で、中年期の総コレステロール・LDLコレステロール・トリグリセライドの値が高いことが、その後20年の認知機能低下と関連していたことを報告した。Alzheimer's & dementia誌オンライン版2017年9月12日号に掲載。
著者らは、Atherosclerosis Risk in Communities研究の参加者1万3,997人において、中年期の血清脂質と、3つの認知機能テストでの成績における20年後の変化の関連を定量化した。
主な結果は以下のとおり。
・中年期の総コレステロール・LDLコレステロール・トリグリセライドの値が高いことが、実行機能・注意の持続・情報処理速度のテストでの20年での大きな低下に関連していた。
・中年期の総コレステロール・トリグリセライドの値が高いことは、記憶スコアおよび3つのテストすべての成績をまとめた尺度においても、20年での大きな低下に関連していた。
・HDLコレステロールは認知機能の変化と関連していなかった。
・informative missingnessに対処した感度分析でも、実質的な結果は変わらなかった。
(ケアネット 金沢 浩子)