眼科医が電子カルテに費やす時間と医業収益の関連は?

提供元:ケアネット

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公開日:2017/11/01

 

 電子カルテシステム(EHR)は医療(practice of medicine)を変えたとされる一方、医師からは、EHRに費やす時間が自分たちの生産性に負の影響を及ぼしていると、懸念する声が持ち上がるようになった。しかし、いわゆるドクターフィーの支払いに関するアプローチが進化し、ケアの質とコストを評価するための“付加的記録”が必要になっている。これまで、これらの問題について定量的な分析を行った研究はほとんどなかったが、米国・オレゴン健康科学大学のSarah Read-Brown氏らはコホート研究の結果、眼科医が診察室で患者と対面する時間には限りがあり、診察室でのかなりの時間をEHR使用に費やしていることを明らかにした。同時に、眼科医のEHR使用パターンにはばらつきがあることも示唆されたという。JAMA Ophthalmology誌オンライン版2017年10月12日号掲載の報告。

 研究グループは、眼科医のEHR使用に要する時間を調べる目的で、単施設でのコホート研究を2013年9月1日~2016年12月31日に行った。

 対象は、当該施設に本研究の前後6ヵ月以上勤務し、眼科部門の一員として診療に当たった眼科医27人。標準的な診療を行わなかった、またはEHRを使用しなかった眼科医は除外した。

 カルテとEHR監査ログのタイムスタンプを分析し、眼科医がEHR使用に要した時間量を測定。また、手動による時間動作観察で、「EHR使用」「会話」「診察・治療」の3つの行為に関する患者との対面時間量を測定した。

 試験のアウトカムは、眼科医の患者との対面時間量(EHR使用、会話、診察・治療)、ならびに眼科医がEHR使用に要した時間の総計であった。

 主な結果は以下のとおり。

・27人の眼科医の背景は、女性10人、男性17人、平均年齢は47.3歳(SD 10.7)、年齢中央値44歳(範囲:34~73)であった。
・眼科医が患者1人当たりに費やした時間は平均11.2分(SD 6.3)で、そのうち3.0分(SD1.8、1人当たりに費やした時間の27%)をEHR使用に、4.7分(SD 4.2、42%)を会話、3.5分(SD 2.3、31%)を診察・治療に費やしていた。
・眼科医がEHR使用に要した総計時間の平均値は、1診療当たり10.8分(SD 5.0、範囲:5.8~28.6)であった。
・標準的な眼科医についてみると、1日の勤務時間のうち3.7時間(2.1時間は診療時間中、1.6時間は診療外)をEHR使用に費やしていた。
・線形混合効果モデルを用いた解析の結果、EHR使用とドクターフィー請求額の間には正の関連があり、1診療当たりのEHR使用時間量とクリニックの受診患者数との間には負の関連が認められた。
・一方で、平均請求額が高い眼科医では、クリニックの受診患者が増えるごとに、1診療当たりのEHR使用時間が1.7分(95%信頼区間[CI]:-4.3~1.0)減少していた(補正後R2=0.42、p=0.01)。

(ケアネット)