ALK/ROS1肺がんにおけるlorlatinibの国際第I相試験の結果/Lancet Oncol 提供元:ケアネット ツイート 公開日:2017/11/06 ALKまたはROS1非小細胞肺がん(NSCLC)の患者の多くは、TKI療法に感受性であるが通常は耐性となり、CNS転移も多い。この研究はALKまたはROS1変異陽性の進行NSCLCにおける既知の耐性について、前臨床で有望な活性を有し、脳移行性の高いALK・ROS1-TKIであるlorlatinibの安全性、有効性および薬物動態学的特性を分析することを目的としたもの。米国Massachusetts General HospitalのAlice T Shaw氏らによる報告がLancet Oncology誌に掲載された。 この国際多施設、オープンラベルシングルアーム第I相用量漸増試験の対象患者は、18歳以上のALKまたはROS1陽性の進行NSCLC患者。lorlatinibの用量は、10mg~200mg×1/日または35~100mg×2/日の経口投与で設定された。主要評価項目は、治験担当医評価による1サイクルの間の用量制限毒性、副次評価項目は安全性、薬物動態など。 主な結果は以下のとおり。 ・2014年1月22日~2015年7月10日までの間に54例の患者が登録された。 ・ALK陽性は41例/54例(77%)、ROS1陽性は12例/54例(23%)、不明1例であった。 ・28例/54例(52%)の患者が2つ以上のTKI治療を受け、39例/54例(72%)の患者がCNS転移を有していた。 ・頻度の高い治療関連有害事象は、高コレステロール血症72%、高トリグリセライド血症39%、末梢神経障39%、浮腫39%であった。 ・200mg投与で、1例の用量制限毒性が生じた(Grade2の神経認知有害事象による服用不可)。 ・最大耐性量は認められなかった。 ・第II相推奨用量は、1日1回100mg×1/日とされた。 ・ALK陽性患者の場合、奏効割合は46%。2つ以上のTKI治療を受けた患者では42%であった。 ・クリゾチニブの前治療患者7例を含むROS1陽性患者の奏効率は50%であった。 この第I相用量漸増試験では、ALK陽性またはROS1陽性の進行NSCLC患者においてlorlatinibが全身性および頭蓋内転移の双方に効果を示した。 ■参考 NCT 01970865(Clinical Trials.gov) ■関連記事 lorlatinibのALK/ROS1陽性NSCLCにおける成績発表/WCLC2017 第2世代ALK-TKI既治療のNSCLCにおけるlorlatinibの成績/ESMO2017 第3世代ALK阻害薬lorlatinibの成績発表/ASCO2017 (ケアネット 細田 雅之) 原著論文はこちら Shaw AT,et al. Lancet Oncol. 2017 Oct 23.[Epub ahead of print] 掲載内容はケアネットの見解を述べるものではございません。(すべての写真・図表等の無断転載を禁じます。) このページを印刷する ツイート [ 最新ニュース ] アルドステロン産生腺腫に対する超音波内視鏡下経胃高周波アブレーション/Lancet(2025/02/21) 肥満者の鎮静下内視鏡検査、高流量鼻カニューレ酸素投与で低酸素症が減少/BMJ(2025/02/21) 妊娠糖尿病とメトホルミン―「非劣性試験で有意差なし」の解釈は難しい(解説:住谷哲氏)(2025/02/21) 第22回日本臨床腫瘍学会の注目演題/JSMO2025(2025/02/21) 1日1杯の緑茶が花粉症を抑制か~日本人大規模コホート(2025/02/21) 日本における第2世代抗精神病薬誘発性ジストニア〜JADER分析(2025/02/21) 50代の半数がフレイルに相当!早めの対策が重要/ツムラ(2025/02/21) 飲食店メニューのカロリー表示は摂食障害の患者にとって有害(2025/02/21) [ あわせて読みたい ] Dr.林の笑劇的救急問答13<上巻>(2017/10/07) 国立国際医療研究センター総合診療科presents 内科インテンシブレビュー2017 (2枚組)(2017/09/07) Dr.大山のがんレク!すべての医療者に捧ぐがん種別薬物療法講義(上巻)(2017/09/07) 救急エコー最速RUSH! (2017/07/07) 肺がん特集まとめインデックス(2017/06/20) 肺がん特集(2017/06/20)