日本人のがん罹患リスクは、男性で21年以上、女性で11年以上禁煙すれば、喫煙歴のない人と同レベルまで低下することが、東京大学の齋藤 英子氏らによる研究で明らかになった。男性では、20 pack-year※以上のヘビースモーカーにおいても同様の結果であるという。早いうちに禁煙することが、がん予防への近道であると考えられる。Cancer epidemiology誌オンライン版2017年11月2日号の報告。
20 pack-year以上の男性でも21年間以上禁煙すると全がん罹患リスクが低下
東アジアは世界有数のタバコ普及地域であるが、喫煙や禁煙ががんに及ぼす影響についての前向き研究はほとんどない。そこで著者らは、日本における8つの前向きコホート研究(参加者32,000人以上)のデータを用いて、全がんおよび喫煙関連がん罹患リスクに対する禁煙の影響を評価した。
がん罹患リスクに対する禁煙の影響を評価した主な結果は以下のとおり。
・潜在的な交絡因子の調整後、ベースライン以前に21年間以上禁煙していた男性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と同じレベルまで低下することが示された(ハザード比:1.01、95%CI:0.91~1.11)。
・20 pack-year以上のヘビースモーカーであった男性でも、21年間以上禁煙した場合、全がん罹患リスクが低下することが示された(ハザード比:1.06、95%CI: 0.92~1.23)。
・ベースライン以前に11年間以上禁煙していた女性の全がん罹患リスクは、喫煙歴のない人と変わらなかった(ハザード比:0.96、95%CI:0.74~1.23)
※pack-year:生涯喫煙量の単位。1日に何箱のタバコを何年間吸い続けたかをかけ合わせて計算する。1 pack-yearは、1日1箱を1年、または2箱を半年吸った量に相当。
(ケアネット 武田 真貴子)